1. あなたは、丸投げなんてしていない
まず前提です。
あなたは、
- 目的も説明する
- 背景も共有する
- 判断基準もある程度伝える
- フォローもする
それでも、
「思ったほど伸びない」
「成長スピードが遅い」
「なぜか自走しない」
この違和感が残る。
これは、指示の質の問題ではありません。
設計の階層が一段足りないのです。
2. 多くの“育成意識ある管理職”がやっていること
育てたい管理職ほど、
- 少し難しめの仕事を渡す
- あえて答えを全部は言わない
- 考えさせる
- 失敗も経験させる
素晴らしい姿勢です。
しかし、ここに落とし穴があります。
それは、
「課題は渡しているが、“視座”は渡していない」
という状態です。
3. 【重要ポイント詳細解説】
課題の委譲と、視座の委譲は違う
ここが今回の核心です。
例えば、あなたがこう考えたとします。
「この案件を任せれば、全体設計力が上がるはずだ」
だから任せる。
でも部下は、こう捉えている可能性があります。
「この資料を完成させるのが目的」
ここにズレが生まれます。
あなたは“設計力向上”を狙っている。
部下は“作業完遂”を目指している。
成果物は出る。
でも、期待した成長は起きない。
具体例①:企画立案を任せたケース
あなたの意図:
- 市場を俯瞰する力をつけてほしい
- 選択肢を比較する思考を学んでほしい
部下の認識:
- 上司がOKと言う案を作ることがゴール
この場合、部下は無意識にこう動きます。
- 無難な案を作る
- 上司の過去の発言に合わせる
- 波風立てない方向でまとめる
あなたは感じます。
「悪くない。でも、突き抜けない」
それは、能力不足ではありません。
目的の階層が共有されていないからです。
4. 育成が止まる本当の瞬間
成長が止まるのは、
失敗したときではありません。
「正解を探す仕事」になったときです。
部下が考えているのは、
- 何が正しいかではなく
- 上司は何を望んでいるか
になっていないでしょうか。
これが続くと、
自走は起きません。
なぜなら、
判断軸が“外側”にあるからです。
5. 視座を渡すとはどういうことか
ここが実践部分です。
仕事を任せるとき、
作業の説明の前に、こう言えるかどうか。
「今回これを任せるのは、
将来、君に〇〇を任せたいからだ。」
例えば:
- 「いずれ顧客折衝を任せたいから、今回は価格交渉を経験してほしい」
- 「部門を横断する役割を担ってほしいから、調整役をやってみてほしい」
- 「企画全体を設計できる人になってほしいから、選択肢を3つ出してほしい」
ここまで言うと、
部下の思考が変わります。
作業ではなく、
自分の成長と紐づく仕事になります。
6. それでも動かない場合
ここまでやっても動かない場合。
それは、
- 難易度が合っていない
- 心理的安全性が足りない
- 役割期待が曖昧
このどれかです。
ここで初めて、
マネジメント技術の話になります。
でも多くの場合、
問題はもっと手前です。
「なぜ任せるのか」を、あなたが言語化していない。
これだけで改善するケースは、非常に多い。
7. 最後に
あなたは、丸投げする管理職ではありません。
だからこそ、
「やっているのに、なぜ?」
という違和感が生まれる。
その正体は、
課題の委譲止まりで、視座の委譲まで届いていない構造
です。
管理職の仕事は、
- 作業を振ることでも
- 指示を出すことでもない
“未来の役割”を設計することです。
ここまでできて初めて、
育成は構造になります。

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