ビジネスの現場では、企業に代わって商取引を行う「代理商(だいりしょう)」の存在がしばしば重要な役割を果たします。今回は、この「代理商」に関する商法の基本を解説していきます!
設問①:代理商と会社との関係は委任?準委任?その責任範囲とは?
設問:
代理商と会社との間の法律関係は委任または準委任であり、代理人は、会社に対して善良な管理者の注意義務を負う。
正解: 〇(正しい)
解説:
代理商と会社との契約関係は、民法上の「委任」または「準委任」の性質を持っています。
そのため、代理商は会社のために取引を行うにあたり、「善良な管理者の注意義務(善管注意義務)」を負うことになります。
ここでいう「善良な管理者の注意義務」とは、通常の管理者が行うべきとされる注意義務のことです。
つまり、プロフェッショナルとして相応の注意を払って行動しなければならない、ということです。
実務上のポイント:
代理商が会社の看板を背負って取引を行う以上、その信頼を損なうような行動をしてしまえば、会社だけでなく顧客にも大きな損害を与えかねません。そのため、常に高い倫理観と注意力が求められます。
要約:
代理商は、委任・準委任契約に基づき、会社のために業務を行います。この際、善良な管理者としての注意義務を持つ必要があります。
代理商は「ちゃんとした人」として、しっかり注意しながら取引する義務があるのです!
設問②:代理商は会社に取引の結果をすぐに報告すべき?
設問:
代理商は、取引の代理をした場合には、遅滞なく、会社に対してその通知を発しなければならない。
正解: 〇(正しい)
解説:
商法では、代理商が取引を完了した場合、できる限り速やかに(=遅滞なく)、その旨を会社に通知する義務があるとされています(商法第50条)。
この通知によって、会社は取引内容を正確に把握し、必要な対処や会計処理などを行うことができます。
実務上のポイント:
連携のスピードはビジネスの生命線です。代理商からの迅速な報告が、意思決定のタイミングを逃さないためにも極めて重要です。
要約:
代理商は、代理した取引の内容を、すぐに会社に知らせる義務があります。
取引したら、すぐ会社に報告しよう!それがルールです!
設問③:代理商は会社のために留置権を行使できる?
設問:
代理商は、別段の意思表示がない場合、取引の代理したことによって生じた債権が弁済期にあるときには、当該債権の弁済を受けるまで、会社のために占有するものを留置することができる。
正解: 〇(正しい)
解説:
商法第52条により、代理商には留置権が認められています。
これは、「会社のために代理した取引によって得た物や金銭など」を、報酬などの支払いがされるまで手元に留め置くことができる、という制度です。
実務上のポイント:
代理商が成果物をいったん留め置くことで、自らの報酬請求の確実性を担保できます。企業側としても、代理商への報酬支払いを後回しにしては信頼関係を損ねかねません。
要約:
代理商は、報酬が支払われるまでは、会社のために取得した物などを手元に留めておくことができます。
「お金払ってもらえるまで預かっとくね!」ということが許されているのです。
設問④:代理商が会社の事業と競合する取引をしたらどうなる?
設問:
代理商が会社の許可を得ずに、自己のために会社の事業の部類に属する取引を行ったことにより、会社に損害を生じた。この損害につき、会社がその賠償を代理商に請求した場合、当該取引により代理商が得た利益額が会社に生じた損害額と推定される。
正解: 〇(正しい)
解説:
商法第54条により、代理商が「競業取引」を行った場合、その取引によって代理商が得た利益は、会社の損害とみなされる、という「推定」が認められています。
これは、代理商が秘密裏に競合する行為をして会社に損害を与えた場合、会社側がわざわざ損害の金額を証明しなくても済むようにする制度です。
実務上のポイント:
代理商が競業行為をすれば、それだけで信用問題に発展します。
企業側は、代理商との契約において「競業禁止条項」や監視体制の整備も検討すべきです。
要約:
代理商が勝手に競合ビジネスをして得た利益は、会社の損害とみなされます。
ズルして儲けた分は「会社の損害」ってことになるんです!
設問⑤:代理商は、契約に報酬の取り決めがなければ報酬請求できない?
設問:
代理商は、その営業の範囲内において、会社のために取引の代理をした場合でも、代理商契約において報酬に関する約定をしていなければ、会社に対して報酬を請求することができない。
正解: ✕(誤り)
解説:
商法第55条により、報酬に関する明確な取り決め(約定)がない場合でも、代理商は「通常受けるべき報酬」の請求が可能です。
これは商取引における慣習的な報酬水準を前提とした制度です。
実務上のポイント:
代理商として活動する場合、事前に報酬条件を契約書に明示しておくことが重要ですが、たとえ明示がなくても、最低限の「通常の報酬」は請求可能です。
要約:
報酬について契約に記載がなくても、代理商は相応の報酬を請求できます。
契約に書いてなくても「ふつうこれくらい」はもらえるのです!
【まとめ】代理商のルールをマスターして、取引リスクを未然に防ごう!
ポイントまとめ:
- 代理商は、委任・準委任契約に基づき、善管注意義務を負う。
- 取引後はすぐに会社へ報告が必要。
- 報酬が払われるまでは、留置権を行使できる。
- 競業取引は厳禁!利益=損害とみなされる。
- 報酬契約がなくても、通常の報酬は請求可能。
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