皆さんは、日々の業務の中で「自分の会社のガバナンス体制がどうなっているのか?」を意識したことはありますか?
企業経営において、会社法に基づき設置する機関をどう選ぶかは、ガバナンスの質を大きく左右します。
普段は取締役会や監査役といった言葉を耳にしても、「どんな役割を果たしているのか」「どんなルールで設置されているのか」まで深く考える機会は意外と少ないかもしれません。
しかし、これから管理職を目指す皆さんにとって、組織の中でどのように責任の所在が分かれ、どのように経営が監視されているのかを正しく理解しておくことは、チームを守り、経営層との信頼関係を築くためにも大切な武器になります。
特に上場企業や大規模会社では、「指名委員会等設置会社」や「監査等委員会設置会社」など、経営監視機能を強化するための制度が存在します。
とりわけ「指名委員会等設置会社」や「監査等委員会設置会社」といった会社法上の機関設計のしくみは、会社の意思決定プロセスや監査体制を左右する重要なポイントです。
試験対策としてだけでなく、あなた自身の実務力を一段引き上げる知識として、ぜひ一緒に理解を深めていきましょう!
このあと、4つの設問を通じて、機関設計の基本と要点をわかりやすくお伝えしていきます。
ここで得た知識は、きっとあなたが管理職として活躍する場面で役立つはずです!
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【設問①】指名委員会等設置会社の3委員会は一括設置が必要
■ 設問
会社法上、X社は、指名委員会等を設置する場合、
指名委員会、監査委員会及び報酬委員会の3委員会を一括して設置しなければならず、
例えば、報酬委員会を設置せず、指名委員会及び監査委員会のみ設置する事はできない。
回答:正しい
■ 解説
会社法402条の2第1項により、指名委員会等設置会社は、必ず「指名委員会」「監査委員会」「報酬委員会」の
3つの委員会をすべて設置しなければなりません。
どれか1つでも欠けた形での設置は認められず、例えば指名委員会と監査委員会だけを設置し、
報酬委員会を設けないという選択肢は存在しません。
なぜ一括設置が義務付けられているかというと、経営の監督機能と業務執行機能の分離を徹底するためです!
役員の選任・解任(指名)、業務執行の監査(監査)、役員の報酬決定(報酬)を、
それぞれの独立した委員会が担うことで、経営の透明性と公正性が保たれます。
■ 要約
指名委員会等設置会社は、必ず3委員会をすべて設置しなければならないと覚えましょう。
一部だけを選んで設置することはできません。
さらに一言要約
「指名・監査・報酬」の3点セットはバラ売り不可!です。
【設問②】報酬委員会の権限範囲
■ 設問
会社法上、X社が指名委員会等設置会社となった場合、
X社の役員及び従業員すべての報酬を決定する権限は、報酬委員会に帰属する。
回答:誤り
■ 解説
報酬委員会が決定できるのは、あくまで「取締役及び執行役の報酬等」のみです。(会社法404条1項)
つまり、従業員すべての給与・賞与などを決定する権限は持ちません。
従業員の給与は、通常は取締役会や業務執行役(執行役員など)による内部規程や雇用契約に基づいて決まります。
報酬委員会は経営層のガバナンス確保が目的なので、
現場社員まで一括で管理する機関ではないのです。
■ 要約
報酬委員会の権限は、経営トップ層の報酬だけに限られます。
一般の従業員の給与には直接関与しません。
さらに一言要約
報酬委員会の射程は「役員報酬のみ」!社員の給料は別物です。
【設問③】監査等委員会の構成要件
■ 設問
会社法上、X社が監査等委員会を設置する場合、
監査等委員である取締役は、3名以上で、その過半数は社外取締役でなければならない。
回答:正しい
■ 解説
会社法331条6項、及び会社法2条15号により、
監査等委員会設置会社の監査等委員である取締役は、最低3名が必要です。
さらに、その過半数を社外取締役とすることが義務付けられています。
このルールの狙いは、内部の利害にとらわれない客観的な監査を担保することにあります。
社外取締役が多数を占めることで、経営陣の不正や恣意的な経営判断を防ぐ役割を果たすのです。
■ 要約
監査等委員会は最低3名、かつ社外取締役が過半数です。
外部の目を多く入れることが信頼性につながります。
さらに一言要約
「3人以上・半数超は社外」これが鉄則!
【設問④】従業員と監査等委員会の兼任禁止
■ 設問
会社法上、X社が監査等委員会設置会社となった場合、
X社の総務部長であるYはX社の従業員の地位を保持したまま、
X社の監査等委員会を兼任する事はできない。
回答:正しい
■ 解説
監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役は、
その会社の従業員を兼ねることが禁止されています。(会社法335条3項)
これは監査等委員会の独立性を確保するためです。
例えば、総務部長が監査等委員会の一員になった場合、
自らが関与する業務を監査する立場になるため、チェック機能が形骸化してしまいます。
したがって、従業員としての身分を持つ者は、監査等委員会を兼任できません。
■ 要約
監査等委員である取締役は従業員を兼任できません。
独立性を守るための大切なルールです。
さらに一言要約
「監査役≠従業員」立場は分けるのが鉄則!
まとめ:経営機関の設置変更を正しく理解しよう
管理職を目指す皆さんにとって、
会社法上の「機関設計」は経営の透明性と責任体制を支える大切な知識です。
指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社の要件を正しく理解することで、
組織のガバナンスに対する意識が高まります。
このテーマは、ビジネス実務法務検定2級の試験対策だけでなく、
日常業務でも経営陣や取締役会とのコミュニケーションで役立つ知識です!
「経営監視機能をどのように強化するか?」を考えることは、
管理職として会社を一歩先へ導くための大切な視点です。
最後に:学んだ知識を実務に活かす!
この記事で解説したポイントは、企業のホームページの「コーポレートガバナンス報告書」などを
読む際にも非常に役立ちます。
社内研修やマネジメント勉強会でも話題にできる内容です。
学んだ知識を、自分の言葉に置き換えて、チームメンバーにも伝えていきましょう!
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