はじめに|グローバル化の波に飲み込まれないために、いま押さえておきたい国際紛争解決の基本
国際取引や海外とのビジネス連携が、特別なものではなくなってきた今——
あなたが次に直面するのは、「言語の壁」ではなく、「法律の壁」かもしれません。
例えば、取引先が海外の企業である場合、万が一トラブルが発生したらどうなるでしょうか。
「相手の国の裁判で勝っても、日本でお金を回収できるの?」
「契約書に書いてあった“仲裁”って、本当に使えるの?」
こうした不安や疑問は、決して法務部だけの話ではありません。
「外国の裁判所で出された判決は、日本でも通用するのか?」
「国際仲裁を活用すべきなのか、それとも国内訴訟なのか?」
このような疑問に、的確かつ迅速に答えられるかどうかが、組織の信頼と損失リスクを大きく左右します。
あなたが管理職としてグローバルな取引やプロジェクトをリードする立場に立ったとき、避けては通れないのが「国際的な法的紛争」への対応です。
マネジメント層を目指すビジネスパーソンにとって、“法的な判断力”は新たなリーダーシップの一部となってきているのです。
本記事では、ビジネス実務法務検定2級の過去問をもとに、「外国の裁判や仲裁の結果が日本でどう扱われるか?」という、実務に直結する知識をわかりやすく解説していきます。読了後には、法務部門との連携もよりスムーズに行える視座が身につきますよ!
複雑に感じる国際法務の世界も、ポイントを押さえれば驚くほどシンプル。
リーダーとして、部下や取引先から信頼される判断ができるよう、今のうちにしっかり学んでおきましょう!


設問① 外国判決の効力と「呼び出し・送達」の要件
設問:
日本の民事訴訟法上、外国裁判所の確定判決が日本国内において効力を有するためには、敗訴した被告が訴訟の開始に必要な呼び出し、もしくは命令の送達(公示送達などを除く)を受けたこと、またはこれを受けなかったが応訴したことが要件の一つである。
回答:正しい
解説:
日本における外国判決の承認には、民事訴訟法第118条が適用されます。その中でも特に重要なのが、「適正な手続きの保障」です。
ここで問われているのは、敗訴した被告に対して、適正な方法で訴訟の開始が通知されたかどうかという点です。これは「手続保障の原則」とも呼ばれ、一方的な裁判や不意打ち的な判決を防ぐための重要な要件です。
したがって、送達(裁判所からの通知)が行われたか、あるいは被告が自発的に応訴した(裁判に出廷し反論した)事実があれば、日本国内でも効力を認めることができます。
要約:
外国判決を日本で効力あるものとして認めるには、被告が裁判の通知を受けているか、裁判に応じたかどうかがカギです。
もっと簡単に言うと:
裁判されたことを知らなかった相手に勝手に出された判決では、日本で効力が認められないということです!
設問② 外国判決と「公序良俗」の要件
設問:
日本の民事訴訟法上、外国裁判所の確定判決が日本で効力を持つには、その判決の内容や訴訟手続きが、日本の公の秩序や善良な風俗に反しないことが求められる。
回答:正しい
解説:
ここでのキーワードは「公序良俗(こうじょりょうぞく)」です。これは、日本社会における基本的な倫理観や秩序を指します。
仮に外国で合法とされている判決であっても、日本の価値観から見て極端に不公平であったり、社会通念に反するものであれば、その効力は認められません。
たとえば、拷問によって得た証拠に基づく判決や、宗教的偏見に基づいた判決などは、日本の法制度において受け入れられないと判断される可能性があります。
要約:
外国の裁判が日本の常識や道徳に反していないことが、判決を有効にするための条件です。
もっと簡単に言うと:
「それ、日本ではアウトだよね…」と思うような判決は、日本では効力を持たないということです!
設問③ 外国と日本との「相互主義」の要件
設問:
外国判決が日本で効力を持つには、当該外国でも、日本の裁判所の判決が同様に効力を認められる仕組み(相互主義)が必要である。
回答:正しい
解説:
この設問が示すのは「相互主義(Reciprocity)」の原則です。
つまり、「そちらの国が日本の判決を認めてくれるなら、日本もその国の判決を認めましょう」という考え方です。これは、国家間の対等な司法関係を維持するための前提でもあります。
たとえば、ある国が日本の判決をまったく認めないとすれば、日本としてもその国の判決に効力を認める理由が薄くなります。
要約:
外国と日本がお互いの判決を認め合う関係にあることが、判決の有効性を支える重要な要素です。
もっと簡単に言うと:
「あんたの国がうちの判決を無視するなら、こっちもあなたの国の判決は無視します!」ということです!
設問④ 仲裁人の選任手続きにおける当事者の合意
設問:
日本の仲裁法上、仲裁人の選任手続きは、原則として当事者の合意により定めることができる。
回答:正しい
解説:
仲裁とは、訴訟によらず、中立の第三者(仲裁人)によって紛争を解決する方法です。
日本の仲裁法では、仲裁人の選び方について、当事者間の自由な合意が尊重されます。これは仲裁の最大のメリットの一つであり、国際取引においても、柔軟な紛争解決を可能にしています。
ただし、当事者間で合意ができなかった場合には、仲裁機関や裁判所が仲裁人を選任する仕組みも用意されています。
要約:
仲裁人の選任は、原則として当事者同士で自由に決められます。
もっと簡単に言うと:
「仲裁で揉めても、誰にお願いするかは当事者で話し合って決められる」ということです!
設問⑤ 仲裁合意があっても訴訟は可能?
設問:
国際取引の当事者の一方が、適法な仲裁合意に反して、日本の裁判所に民事訴訟を提起した場合、日本の仲裁法上、他方当事者は訴えの却下を求めることができない。
回答:誤り
解説:
日本の仲裁法において、当事者間に有効な仲裁合意がある場合には、裁判所は原則として訴えを却下する義務があります(仲裁法第14条)。
つまり、仲裁に合意しているのに訴訟を起こされた側は、「この訴えは仲裁で解決すべきものだから裁判するべきではない」と主張できるのです。
このルールにより、仲裁合意の尊重と、無用な裁判の抑止が図られています。
要約:
仲裁合意があるのに裁判を起こされた場合、相手は「訴え却下」を裁判所に求めることができます。
もっと簡単に言うと:
「裁判はナシって話だったでしょ!」と主張できるってことです!
まとめ|国際法務に強くなる5つの視点
- 外国判決は、適正な送達や応訴がなければ日本で効力が認められない
- 公序良俗に反する外国判決は日本では無効
- 相互主義の原則により、日本と外国が互いに判決を認め合うことが重要
- 仲裁人は当事者間の合意で選ぶのが原則
- 仲裁合意があるのに訴訟を起こされても、訴えを却下できる
超要約|こんなときどうする?実務対応のヒント!
- 外国からの請求書が判決付きで届いたら? → 手続きの正当性と公序良俗をチェック!
- 契約書に仲裁条項がある場合? → 訴訟ではなく、まず仲裁の道を検討!
- 日本の判決が通じるか不安? → 相互主義のある国かどうかを確認!
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