「この契約、大丈夫だろうか…」と感じたことはありませんか?
プロジェクトが進む中で、資金調達や不動産の取引に関わる場面に遭遇したとき、
あなたはこんな不安を抱えたことがないでしょうか?
「契約書の“担保”って、どこまでリスクになるんだろう?」
「万が一、取引先が倒れたら、うちの会社はどうなるんだろう?」
「自分が部下に説明できるほど、法律のことを理解できているだろうか…」
管理職を目指すビジネスパーソンにとって、法律の基礎知識は、もはや“あると安心”ではなく、“ないと危険”な時代です。
とくに、今回取り上げる「抵当権」は、不動産取引や融資、プロジェクトファイナンスの場面で頻出する重要テーマ。
にもかかわらず、「なんとなく知ってる」だけで終わらせてしまっている人が多いのが現実です。
だからこそ、この記事では――
- 抵当権の仕組みと実務での意味
- よくある誤解と正しい理解の違い
- 管理職として押さえておくべき判断ポイント
――を、過去問5問を題材にしながら、やさしく・丁寧に・実践的に解説します!
「ちゃんと理解しておきたいけど、法律は苦手で…」という方にも安心して読んでいただける内容です。
条文をただ解釈するのではなく、現場でどう活かすかに焦点を当てた、実務に役立つ解説をお届けします。
では、さっそく見ていきましょう!
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第1問:抵当権が付いた土地は、債権者の同意がないと売れない?
設問①
債権者は、債務者に金銭を貸し付けるにあたり、債務者所有の土地に抵当権の設定を受け、その旨の登記を経た。
この場合、当該債務者が当該土地を第三者に売却するためには、民法上、当該債権者の同意を得なければならない。
回答:誤り
解説:
抵当権が設定された不動産であっても、債務者は原則として自由に売却することができます。
つまり、抵当権者(債権者)の同意は不要です。
ただし、債務者が土地を第三者に売却したとしても、登記された抵当権はそのまま残ります。
したがって、買主は抵当権付きの土地を購入することになり、場合によっては競売のリスクを負います。
ポイントは、「抵当権は物権であり、登記によって第三者に対抗できる」という点です!
要約:
債務者は、抵当権が設定された土地でも、債権者の同意なしで売却可能。
ただし、抵当権が登記されていれば、新しい所有者もその抵当権の影響を受ける。
やさしい要約:
抵当権がついている土地でも、持ち主は勝手に売れる!でも、買った人はそのまま抵当権の影響を受けるから注意が必要!
第2問:抵当権を実行するには、まず訴訟を起こすべき?
設問②
債権者は、債務者に金銭を貸し付けるにあたり、債務者所有の土地に抵当権の設定を受け、その旨の登記を経た。
当該債務者が返済期限を過ぎても返済しないため、当該抵当権を実行する場合、民事執行法上、その前提として、本件貸付について民事訴訟を提起し、債務名義を取得する必要は無い。
回答:正しい
解説:
抵当権は、登記によって第三者に対抗できる「物権」です。
そのため、裁判(訴訟)を経ずとも、直接、競売の申立てが可能です。
債務者が返済しない場合、債権者は「抵当権の実行」として、対象不動産を競売にかけることで、
債権を回収できます。この流れは「担保権の実行手続」として、民事執行法で整備されています。
要約:
抵当権がある場合、裁判をせずに、直接、競売を申し立てることができる。
やさしい要約:
裁判を起こさなくても、抵当権があるなら、すぐに土地を競売にかけて回収できる!
第3問:土地の上に建てた建物も、一緒に競売できる?
設問③
債権者は、債務者に金銭を貸し付けるにあたり、債務者所有の土地に抵当権の設定を受け、その旨の登記を経た。
その後、当該債務者は当該土地上に建物を建築した。
この場合、当該債権者は民法上、当該抵当権を実行するに際し、当該土地とともに、当該建物も競売に付すことができるが、当該土地の代価についてのみ、担保権を有しない一般債権者に優先して弁済を受けることができる。
回答:正しい
解説:
土地に抵当権が設定されている場合、その後に建てられた建物も一体として競売対象とすることが可能です。
これは、**土地と建物の一体利用の原則(附合)**に基づく実務上の運用です。
ただし、債権者が抵当権によって優先弁済を受けられるのは「土地の価値分」だけです。
建物については、別途、担保の設定がない限り、優先弁済の対象にはなりません。
注意すべきは、担保の範囲です。抵当権は設定された対象物件に限って効力を持ちます。
要約:
土地に抵当権があっても、その後に建てられた建物には、抵当権の効力は及ばない。ただし一緒に競売にかけることは可能。
やさしい要約:
土地だけが担保でも、その上の建物も一緒に売ることはできる!でも、お金を回収できるのは「土地の分だけ」。
第4問:共同抵当の場合、どちらの土地から競売してもOK?
設問④
債権者は、債務者に金銭を貸し付けるにあたり、債務者所有の甲土地及び乙土地を共同抵当として、抵当権の設定を受け、その旨の登記を経た。
この場合、民法上、当該債権者は、抵当権を実行するに際し、甲土地及び乙土地について、同時に、両方の競売の申し立てをすることも、いずれか一方のみについて、競売の申し立てをすることも、可能である。
回答:正しい
解説:
共同抵当とは、一つの債権を担保するために、複数の不動産に抵当権を設定する制度です。
民法では、債権者はこれらのうち「どちらか一方のみ」「両方同時に」いずれの競売申立ても可能とされています。
つまり、競売の順序や方法に制限はなく、債権者の判断に委ねられているのです。
重要なのは、「柔軟な回収手段が確保されている」という点です。
要約:
共同抵当の場合、債権者は好きな順番・方法で土地を競売できる。
やさしい要約:
複数の土地が担保にされていれば、どっちからでも売って回収できる!
第5問:根抵当権の極度額以上は回収できる?
設問⑤
債権者は、債務者に金銭を貸し付けるにあたり、債務者所有の土地に極度額70,000,000円の根抵当権の設定を受け、その旨の登記を経た。
その後、当該根抵当権の実行により、当該土地は競売に付され85,000,000円で第三者に買い受けられた。
この場合において、当該根抵当権の被担保債権の総額が80,000,000円であり、後順位抵当権者がいない時であっても、民法上、当該債権者は70,000,000円を限度として、配当を受けられるのみである。
回答:正しい
解説:
根抵当権には、「極度額(くどがく)」という担保の上限額が設定されています。
たとえ、実際の債権額がそれを超えていたとしても、回収できるのは極度額までです。
本問のケースでは、根抵当権の極度額が7,000万円。
実際の債権額は8,000万円で、競売代金も8,500万円と十分ありますが、債権者はあくまで極度額の範囲内(7,000万円)までしか配当を受けられません。
根抵当権の契約内容が「限度」となるのです!
要約:
根抵当権の極度額を超える債権があっても、配当は極度額までに制限される。
やさしい要約:
たとえ貸したお金が多くても、根抵当の上限を超えては回収できない!
最後に:抵当権は管理職にとっての「リスクマネジメントの鍵」
不動産担保取引は、企業にとって資金調達・リスク回避の重要な手段です。
だからこそ、抵当権の基本的なルールを理解しておくことが、管理職としての判断力の差を生みます!
本記事のように、【民法の基礎】をしっかり学びながら、【実務への応用】を意識した知識を身につけていきましょう。
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