【法務力を武器に!】剰余金の配当をめぐる落とし穴と実務対応|管理職が知るべき5つのポイント~ビジネス実務法務検定試験2級~

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株主への利益還元として欠かせない「剰余金の配当」。しかしその実務には、会社法に基づく厳格なルールとリスクが潜んでいます。

特に管理職として企業経営に関わる立場では、「何が適法で何が違法なのか」を正しく理解しておかなければなりません。

今回は、ビジネス実務法務検定2級に対応した設問をもとに、実務上でも役立つように解説していきます。


■ 前提条件

以下の前提で解説します:

  • 内容の異なる種類株式は存在しないものとする。
  • 「違法配当」とは、配当効力発生日の分配可能額を超えた剰余金の配当を指す。
  • 配当財産には金銭以外の現物資産も含まれるが、当該株式会社の株式は除外する。

設問①純資産が300万円を下回ると配当できない?

株式会社は、その純資産額が3,000,000円を下回る場合には剰余金の配当をすることができない。

→ 正しい

【解説】

会社法および会社計算規則により、剰余金の配当を行う場合は、配当後の純資産が最低3百万円を下回ってはならないとされています。

これは、会社の資本保全の原則を実現するための基準です。特に中小企業にとっては、財務健全性を確保する上で非常に重要なルールです。


設問②株主の保有株数に応じて配当しなければならない?

剰余金の配当における株主に対する配当財産の割り当てに関する事項についての定めは、株主の有する株式の数に応じて、配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならない。

→ 正しい

【解説】

種類株式が存在しないという前提では、すべての株式は同じ権利を有しており、配当も原則として株式数に応じて行う必要があります(会社法第105条)。

つまり、特別な種類株式などで異なる配当ルールを設けない限り、すべての株主に対して平等に、株式数に応じた配当を行わなければなりません。

したがって、本設問は正しいといえます。


設問③現物配当で金銭請求権を認めないないら特別決議が必要?

株式会社は、配当財産が金銭以外の財産である場合において、株主に対して当該配当財産に代えて金銭を交付することを株式会社に対して請求する権利(金銭分配請求権)を与えない時は、株主総会の特別決議によらなければ、剰余金の配当を行うことができない。

→ 正しい

【解説】

現物配当(たとえば不動産や有価証券など)の場合、株主に金銭分配請求権を与えるかどうかが重要です。

この請求権を与えない場合は、会社が一方的に現物を渡す形となるため、より強い決議(=特別決議)が必要となります(会社法第454条第5項)。

このルールは、株主の意思に反する不利益を避けるための制度的配慮といえます。


設問④違法配当でも株主に返還義務はない?

株式会社が違法配当を行った場合、株主は自ら積極的に違法配当に加担をしたような特別な場合を除き、会社に対し違法配当により交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負わない。

→ 誤り

【解説】

違法配当であった場合、たとえ株主がその事実を知らなかったとしても、原則として返還義務があります。

これは、会社財産の不当な流出を防ぎ、会社と債権者の利益を守るためのルールです(会社法第120条)。

ただし、「返還しても会社に損害がない場合」などでは一部免除されるケースもありますが、原則的な返還義務の存在を否定する本設問は誤りです。


設問⑤債権者は株主に全額返還請求できる?

株式会社が違法配当を行った場合、当該株式会社の債権者は、当該違法配当により金銭等の交付を受けた株主に対し、当該債権者が当該株式会社に対して有する債権額にかかわらず、当該株主が交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭の全額を支払わせることができる。

→ 誤り

【解説】

債権者が違法配当を受けた株主に対して返還請求できるのは、あくまでその債権者自身の債権額を限度とするものです。

つまり、「会社に対する自分の債権額の範囲内」でしか請求できず、株主が受け取った配当全額を請求できるわけではありません。

本設問のように、「全額を支払わせることができる」とする内容は誤りです。


■ まとめ|剰余金の配当こそ法務リテラシーが問われる!

剰余金の配当には、「財務」と「法務」の両側面が密接に絡んでいます。

特に管理職や経営層を目指すビジネスパーソンにとって、適法な手続き・リスク管理・株主や債権者への対応など、幅広い知識が求められます。

正しい法務知識こそ、信頼されるリーダーの条件!


【お役立ちリンク】

  • ビジネス実務法務検定試験2級 テキスト&問題集
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