◆ 1. 期待値とは何か?
● 定義(簡単に言うと)
期待値(きたいち)とは、「起こりうる結果の平均値」のことです。
基本の定義式(離散型)
ある事象の値\( x_1, x_2, x_3, \ldots, x_n \)があり、それぞれの確率が
\(P(x_1), P(x_2), P(x_3), \ldots, P(x_n)\) のとき、
\(E[X] = x_1 \cdot P(x_1) + x_2 \cdot P(x_2) + x_3 \cdot P(x_3) + \cdots + x_n \cdot P(x_n)\)このように、値 × その確率 をすべて足し合わせたものが期待値(平均)です。
● たとえばこんな場面:
◆ サイコロの例(1~6の目が出るサイコロ)
- サイコロを1回振ると、出る目は「1・2・3・4・5・6」ですね。
- それぞれが同じ確率(1/6)で出ます。
では「何回もサイコロを振ったとき、平均してどの数字が出やすいか?」
それが 期待値 です。
● 具体的な計算方法
期待値 E の計算は次の式で表します:
\(E = \sum (値 \times その値が出る確率)\)サイコロの例で計算してみましょう:
\(E = 1 \times \frac{1}{6} + 2 \times \frac{1}{6} + 3 \times \frac{1}{6} + 4 \times \frac{1}{6} + 5 \times \frac{1}{6} + 6 \times \frac{1}{6}\) \(E = \frac{1+2+3+4+5+6}{6} = \frac{21}{6} = 3.5\) 答え:期待値は 3.5
→ サイコロを何回も振った平均値は「3.5」になるという意味です。
◆ 2. なぜ「平均」なのに 3.5 なの?
「サイコロの目に3.5なんてないじゃん!」と思った方も多いはず。
期待値は、現実に出る値ではなく、「長期的な平均」です。
つまり:
- 1000回サイコロを振ったら、1〜6がバラバラに出ます。
- その出た数の合計を1000で割ると、だいたい3.5に近づく。
期待値は「繰り返したときに平均的に得られる値」なんです。
◆ 3. 事例:くじ引きの期待値
● 問題:
あるくじ引きがあります。1回100円。以下の当選内容です:
当たり | 金額 | 確率 |
---|---|---|
A賞 | 500円 | 1/10 |
B賞 | 200円 | 2/10 |
はずれ | 0円 | 7/10 |
● このくじの期待値は?
E = \(500 \times \frac{1}{10} + 200 \times \frac{2}{10} + 0 \times \frac{7}{10}\)
E = 50 + 40 + 0 = 90円
答え:期待値は90円
→ つまり、1回100円払ってくじを引いたとき、平均して戻ってくる金額は90円という意味です。

このように、期待値を使えば「損か得か」を見極める材料にもなります。
◆ 4. ビジネスやQC検定での活用(ポイント)
期待値は、ビジネスや統計の分野でもとても重要です。
- 期待値とは、平均的な成果を示す指標です
- たとえば、品質不良が発生する確率が0.02、不良の損害が10万円なら、1回あたりの期待損害は:
\(E[X] \)= 0.02 × 100,000 = 2,000円
⇒ 1回ごとに 2,000円の損害リスクがある と考えるべきです!
QC検定では:
- 「結果の平均傾向」をつかむために期待値を使います。
- 製品の寸法、品質特性などで、平均的な傾向を理解するのが目的。
◆ 5. 最後に:期待値は「考え方」が重要!
- 確率 × 結果 を全部足して平均を出す。
- 現実にその数字が出るとは限らない。
- 長い目で見て「平均的にどうなるか?」を予測するための指標!
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