【QC検定2級】信頼工学で差をつけろ!MTBF・MTTF・MTTRを武器に生産性を最大化する方法

スキル

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あなたの会社の設備、もしくは協力工場のライン…

「どれぐらいの時間、安心して動かせますか?」と聞かれて、即答できますか?

もし答えに詰まったら、ぜひ今日の記事を読んでください!

なぜなら、信頼工学の基本指標を理解し、使いこなせば、設備稼働率は劇的に上がり、クレームや損失コストを大幅に削減できるからです。

しかもこの知識は、管理職への昇進面接や社内会議でも武器になります!


1. 信頼度(R(t)) 〜「止まらない確率」を数値化する〜

信頼度とは、ある時間tの間、機械やシステムが故障しない確率のことです。

たとえばMTTF(平均故障時間)が1,000時間の機械なら、100時間連続稼働する信頼度はこうなります。

\(R(100) = e^{-100/1000} \approx 0.905\)

つまり100台動かすと、90台以上は無故障で走り切る確率です!

この数字を知っていれば、生産計画や出荷計画のリスク管理が一段と精密になります。

  • 定義:機器やシステムが時刻0から時刻tまで故障せず動き続ける確率。
  • 現場での意味:たとえば「導入後100時間は動いてほしい」といった期間保証の達成確率。

数値例

MTTF=1,000 時間(→ \(\lambda=1/1000=0.001 /h\))の機器:

100時間での信頼度\( R(100)=e^{-0.1}\approx0.905\)。

→ 100台動かせば、約90台は無故障で走り切るイメージ。

注意

  • R(t) は無故障の確率です。修理を含む「使える時間の割合(可用性)」とは別物です(→可用性は後述)。

2. MTTFとMTBF 〜混同しやすいけれど違う〜

  • MTTF(Mean Time To Failure):修理できない機器や消耗品の平均寿命
  • MTBF(Mean Time Between Failures):修理しながら使う機器の、故障から次の故障までの平均時間

注意! MTBFは「これだけの時間は必ず壊れない」ではなく、あくまで平均値です。

早く壊れることもあれば、長く持つこともあります。

実務での使い分け

  • 消耗品の交換計画 → MTTF
  • 生産設備の保全計画 → MTBF

MTTF(Mean Time To Failure)

  • 非修理系(捨て切り・消耗品)の平均動作時間。
  • 指数分布なら \text{MTTF}=1/\lambda。

MTBF(Mean Time Between Failures)

  • 修理して使い続ける系で、故障から次の故障までの平均時間。
  • 故障→修理完了→次の故障、の稼働側の平均。
  • 故障率が一定なら、数式上は MTTF と同じ扱いになることも多い(ただし実務では区別する)。

誤解注意!

  • MTBFは「この機器はMTBF=1,000時間だから、1,000時間は壊れない」という意味ではありません。確率的な平均であり、早期故障もあればもっと長く動くこともあります。

3. MTTR 〜復旧スピードが利益を守る〜

MTTR(Mean Time To Repair)は、故障から修理完了までの平均時間です。

この時間が短いほど、可用性(Availability)が高まり、生産ロスが減ります。

改善アイデア:

  • モジュール化設計で交換時間を短縮
  • 主要部品を工場内に在庫
  • 協力工場にも修理手順書を共有

これだけで年間数百万円規模の損失を防げる場合もあります!

MTTR(Mean Time To Repair)

  • 平均修復時間。故障から復旧(再稼働)までの平均所要時間。
  • 保守体制、交換性、スペア在庫、遠隔地対応の有無で大きく変わる。
  • 修理率 \(\mu = 1/\text{MTTR}\)。

実務ポイント

  • 保守契約・部品在庫・モジュール化で MTTR を短縮すると、可用性が上がり、顧客満足が劇的に改善します!

4. 可用性(A)〜稼働率のKPI化〜

可用性は次の式で計算します。

\(A = \frac{\text{MTBF}}{\text{MTBF} + \text{MTTR}}\)

例えばMTBF=1,000h、MTTR=4hなら、可用性は99.6%。

年間の停止時間は約35時間に抑えられます。

これを99.8%に上げられれば、年間停止は約17時間。この差は売上にも直結!


5. 直列システムと並列システム 〜構成で寿命は変わる!〜

  • 直列:どれか1つ壊れると全体が停止 → 寿命は短くなる
  • 並列(冗長化):どれか1つ動いていればOK → 寿命は延びる

同じ部品を2並列にするだけで、無故障確率が90%→99%以上に跳ね上がることもあります。

ただし、共通原因故障(同じ環境や電源トラブル)には要注意です!

直列(Series)

  • どれか1つでも故障したら停止する構成(例:直列の工程、1本経路の電源)。
  • 信頼度:\(R_{\text{series}}(t)=\prod_{i=1}^{n}R_i(t)\)
  • 指数分布(\(\lambda_i一定\))なら、システム故障率 \(\lambda_{\text{sys}}=\sum \lambda_i。\text{MTTF}_{\text{series}} = \frac{1}{\sum \lambda_i}\)同一部品(\(MTTF=\theta\))がn直列なら \(\text{MTTF}=\theta/n\)(直列にすると弱くなる!)

部品A,B(各 MTTF=1,000h)を直列

→ \(\lambda_{\text{sys}}=0.001+0.001=0.002\)

→ \(\text{MTTF}_{\text{sys}}=1/0.002=500h\)。


並列(Parallel, 冗長化)

  • どれか1つでも生きていれば動く構成(冗長・二重化)。
  • 信頼度:\(R_{\text{parallel}}(t)=1-\prod_{i=1}^{n}\bigl(1-R_i(t)\bigr)\)
  • 同一部品・指数分布(\(MTTF=\theta、\lambda=1/\theta\))、**2並列(ホット冗長)**なら\(R_{\text{2並列}}(t)=1-(1-e^{-\lambda t})^2\text{MTTF}_{\text{2並列}}=\frac{1}{\lambda}\left(1+\frac{1}{2}\right)=1.5\,\theta\)(直列と逆で、並列にすると強くなる!)

例(直列と比較)

単体 MTTF=1,000h の装置を100h使うと:

  • 単体の信頼度:\(e^{-0.1}\approx0.905\)
  • 2並列の信頼度:\(1-(1-0.905)^2 \approx 0.991\)(無故障確率が跳ね上がる!)

スタンバイ冗長(コールド/ウォーム)では式が変わります。スイッチオーバの成功率や待機中故障も考慮が必要(冗長化の設計前提を必ず明確に)。


6. 現場で使える改善ステップ

  1. 目標設定:「稼働率99.9%」「8時間連続稼働で99%以上の確率」など
  2. 現状把握:各設備や協力工場のMTBF・MTTRを調べる
  3. 構成改善:直列を減らし、重要部は冗長化
  4. 保守改善:在庫確保、修理教育、予防保全の徹底
  5. 試算と見直し:信頼度計算で改善効果を数値化

どう使い分ける?(意思決定の勘所)

いつ MTBF/MTTF を使うか

  • MTTF:使い切り・非修理(センサ、ヒューズ、バッテリ等)
  • MTBF:修理して使い続ける設備(生産装置、サーバ等)

信頼度設計(R(t))で考えるとき

  • 「○時間は止められない」というミッション時間がある場合はR(t)で。
  • 要件例:「8時間の連続製造で、停止確率1%以下」→ R(8\text{h})\ge 0.99 を満たすように \lambda(=設計・品質)や冗長構成を決める。

可用性(A)で考えるとき

  • 24/7運用で平均稼働率を上げたい場合は A をKPIに。
  • レバーは2つ:MTBF↑(設計・品質・予防保全)/MTTR↓(保守体制・モジュール化・在庫)。

7.会議で即使える「手順テンプレ」

  1. 要件定義:ミッション時間(連続無停止で必要な時間) or 目標可用性(例:99.9%)
  2. 単体の信頼パラメータ取得:MTBF/MTTF、MTTR、実績故障率
  3. 構成を検討:直列か、並列冗長か、どの段を冗長化するか
  4. 試算
    • 連続運転の成功確率:R(t)
    • 可用性:\(A=\frac{\text{MTBF}}{\text{MTBF}+\text{MTTR}}\)
    • 直列/並列の合成式でシステム値に落とす
  5. 感度分析:MTTRを半分にしたら?1段冗長化したら?→最小コストで最大効果の打ち手を決める

8.よくある落とし穴(ここが超重要)

  • 故障独立の仮定を暗黙に置いてしまう(同一ロット欠陥・共通電源・同一環境で共通原因故障が起きると、並列でも効かない)
  • 故障率一定の仮定(指数分布)を乱用する(実際はバスタブ曲線:初期故障↓・偶発故障一定・摩耗期↑)。摩耗期では \lambdaは上昇し、式は変わる。
  • MTBFを保証値と誤解(確率的平均であり、保証期間ではない)
  • 冗長切替の失敗率を無視(スタンバイ冗長は切替成功率が肝)
  • MTTRの軽視(保守契約・部品在庫・遠隔支援で可用性は大きく改善)

9. まとめ 〜数字で語れる管理職へ〜

信頼工学は、ただの理論ではありません。

R(t)・MTBF・MTTRを使えば、生産現場の安定稼働を数値で保証できる!

そして、これは管理職が求められる「数字で語る力」の最たるものです。

  • 止めない時間が重要なら 信頼度 R(t) を見る。
  • 稼働率が重要なら 可用性 A を見る。
  • 直列は弱くなる、並列(冗長)は強くなる。ただし独立性と切替成功が前提。
  • 改善レバーは MTBF↑(設計・品質) と MTTR↓(保守・在庫・モジュール化) の両輪で!

もしあなたが本気で現場力を高め、上司や経営陣に信頼されたいなら、今日から設備や協力工場の稼働データを集めてみましょう。

数字が揃えば、改善提案は説得力を持ち、あなたの評価は間違いなく上がります!


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