はじめに
頑張っている。
手を抜いていない。
むしろ、誰よりも現場を見て、部下を守り、上司の無理な要求にも耐えてきた。
それなのに――
評価は上がらない。
面談では曖昧な言葉ばかり。
「期待している」と言われ続けるのに、何も変わらない。
もし、あなたが今
「自分の何がダメなんだろう」
「管理職に向いていないのかもしれない」
そう感じているなら、まず伝えたいことがあります。
あなたは、壊れたのではありません。
壊される“構造の中”に、配置されていただけです。
1. 管理職が苦しくなる原因は「個人能力」ではない
多くの管理職は、苦しくなると自分を責めます。
- 判断力が足りないのではないか
- 人を動かす力が弱いのではないか
- 上司とうまくやれていないのではないか
ですが、冷静に考えてみてください。
あなたは、
現場で結果を出したからこそ管理職になったはずです。
何もできない人間が、突然管理職になることはありません。
それでも苦しい。
それでも報われない。
ここに、明確な理由があります。
2. 管理職を追い込む「3つの構造的要因」
① 責任だけが増え、権限が与えられない構造
多くの日本企業では、
- 数字の責任は管理職
- トラブルの責任も管理職
- 部下の失敗も管理職
しかし、
- 人事権はない
- 予算決定権もない
- 方針決定には関われない
という状態が当たり前になっています。
これは「責任と権限が不均衡な構造」です。
どれだけ優秀でも、ここでは成果が出にくい。
にもかかわらず、
評価面談では「結果が足りない」と言われる。
冷静に考えれば、
詰みやすい盤面に最初から置かれているのです。
② 上司の“期待の押し付け”を受け止める中間層の宿命
管理職は、上からも下からも見られます。
- 上司からは「現場を何とかしてくれ」
- 部下からは「守ってほしい」「分かってほしい」
この板挟み状態で、
- 上司の無理な期待
- 曖昧な指示
- 方向性のない号令
を、すべて自分の中で翻訳して処理する役割を担わされます。
この役割は、
評価基準には書かれていない。
数字にも表れにくい。
しかし、最も消耗する。
誠実な人ほど、ここで削られます。
③ 「我慢できる人」が、さらに使われる構造
真面目な管理職は、
- 文句を言わない
- 途中で投げ出さない
- 最後まで責任を取ろうとする
その姿勢は本来、美徳です。
しかし組織では、
それが「この人なら大丈夫」という誤解に変わります。
結果として、
- 難しい案件が集まる
- 調整役を押し付けられる
- 火消し専門になる
そして、評価は
「よくやっているよ」で終わる。
耐えられる人ほど、報われにくい構造
これが、今の多くの職場の現実です。
3. 「自分が弱いからだ」と思い始めた瞬間が危険
ここで最も危険なのは、
管理職本人がこう思い始めることです。
「結局、自分が未熟だからだ」
「もっと頑張らなきゃいけない」
この思考に入ると、
- 相談しなくなる
- 助けを求めなくなる
- 限界を超えて踏ん張る
そして、ある日突然、心が折れます。
これは個人の問題ではありません。
構造に対して、個人で耐え続けた結果です。
4. ここで一度、立ち止まってほしい
あなたにしてほしいことは一つだけです。
「自分を責めるのを、一度やめること」
- 努力は足りている
- 真剣に向き合ってきた
- 逃げずに耐えてきた
それでも苦しいなら、
それはあなたの能力の問題ではない。
5. 次に進むための「視点」を持つ
ここまで読んで、
少しだけ気持ちが楽になったなら、次の視点を持ってください。
「この構造の中で、私はどんな役割に置かれているのか?」
これは、逃げるための問いではありません。
生き残るための問いです。
おわりに
ここまでで、あなたは気づき始めているはずです。
- なぜ苦しいのか
- なぜ報われないのか
- なぜ同じ人ばかりが消耗するのか
次の記事では、
この構造の中で管理職がどのように「使われる側」に固定されていくのか
そして、そこから抜け出すために必要な視点を、さらに深く掘り下げます。
あなたは無能ではありません。
壊れてもいません。
ただ――
「壊れやすい配置」に、長く置かれていただけです。

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