事業譲渡に関する正しいりかいとは?|法務知識|管理職に必要な5つの視点~ビジネス実務法務検定試験2級~

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経営戦略において、「事業譲渡」は極めて重要な選択肢です。

特に管理職を目指すビジネスパーソンにとっては、事業譲渡にまつわる法律的な正しい知識を身につけておくことが、組織の意思決定に深く関与していくうえで不可欠です。

そこで今回は、ビジネス実務法務検定2級の事業譲渡に関する設問をもとに、「実務で役立つ視点」と「法的根拠」を交えて解説していきます!


【設問①】事業譲渡契約の決定は、取締役会で決議する必要がある?

設問

会社法上、事業譲渡に係る契約の内容は、取締役会決議により決定しなければならない事項に含まれないため、取締役会設置会社においても、事業譲渡に係る契約の内容の決定を特定の1人の取締役に委任することができる。

正解:誤り

解説

この設問でのポイントは、「事業譲渡に関する契約内容を、誰が決定できるのか?」という意思決定の所在です。

会社法第362条第4項によると、取締役会設置会社においては、「重要な財産の譲渡」は取締役会の決議事項とされています。

事業譲渡は、まさにこの「重要な財産の譲渡」に該当します。

したがって、特定の取締役に委任することはできません!

これは、たとえ代表取締役であっても同様です。会社全体の経営判断に関わる重大な行為である以上、複数の目によるチェックが必要であり、必ず取締役会での合議を経る必要があるのです。

管理職を目指すあなたには、「どのレベルの意思決定が、どの機関でなされるべきか」を見極める力が求められます!


【設問②】事業譲渡によって債務も自動的に移転するのか?

設問

会社法上、事業譲渡によって譲渡の対象となる事業において、譲渡会社が債権者に対して負っていた債務は当然に譲受会社に移転し、譲受会社は当該債務を弁済する責任を負う。

正解:誤り

解説

この設問では、「事業譲渡によって債務も譲受会社に引き継がれるかどうか」が問われています。

まず結論から言えば、債務は当然には移転しません

なぜなら、民法上の原則として、債務の移転には債権者の承諾が必要だからです。

譲渡会社が誰かにお金を借りていたとしても、その相手(債権者)は、別の会社(譲受会社)に勝手に借金を引き継がれては困りますよね?

このような理屈から、債務を引き継がせるには、「債権者の明示的な同意」が必要とされています。

実務では、債権者との個別交渉が必要になる場面が多く、法務部門や経営層の連携が重要になります!


【設問③】事業譲渡で従業員の雇用契約も移る?

設問

譲渡の対象となる事業に従事している従業員と譲渡会社との間の雇用関係は、民法上、事業譲渡によって当然に譲受会社に継承され、雇用関係を移転するため、当該従業員の承諾を得る必要は無い。

正解:誤り

解説

この設問では、「事業譲渡により雇用契約も引き継がれるのか?」が焦点です。

答えは明確で、雇用契約は当然には移転しません!

なぜなら、雇用契約は“個人と企業”の信頼関係に基づく契約だからです。

本人の意志に反して、雇用関係が勝手に他社へ移されることは、労働者の権利の侵害にあたります。

したがって、譲渡対象の事業に従事している従業員を譲受会社へ移すには、本人の明示的な同意が必須です。

労働法を理解することで、マネジメントにおける“人材”の扱い方にも深みが増します!


【設問④】譲受会社が100%親会社の場合、株主総会は不要?

設問

会社法上、譲受会社が譲渡会社の発行済株式の全てを保有する特別支配会社である場合には、譲渡の対象となる事業が譲渡会社の事業の重要な一部であっても、譲渡会社は、事業譲渡につき、株主総会の特別決議による承認を受ける必要は無い。

正解:正しい

解説

ここでは、「特別支配会社」の存在によって、通常の承認手続きがどう変わるのかが問われています。

「特別支配会社」とは、譲受会社が譲渡会社の発行済株式のすべてを保有している完全親会社のことを指します。

この場合、譲渡会社における事業譲渡の承認手続きが一部免除されます。

具体的には、たとえ事業譲渡の対象が「重要な一部の事業」であっても、株主総会の特別決議による承認は不要になります(会社法467条3項)。

親子会社間の取引では、このように手続が簡素化される場面があることも、実務では大切な視点です!


【設問⑤】譲受会社が定款を変更しなければならない場合とは?

設問

会社法上、譲受会社は、事業の譲受けによってその事業目的に変更生じる場合、株主総会の特別決議による定款の変更が必要となることがある。

正解:正しい

解説

この設問のカギは、「事業目的と定款変更」です。

会社の活動範囲を定める「定款」の中には、どのような事業を行うかを記載した「事業目的」があります。

もし、譲受けた事業が、現行の定款に記載されていない内容であれば、定款を変更する必要があります

そしてこの定款変更には、株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成)が必要です。

戦略的M&Aや新規事業の受け入れでは、事業目的の整合性チェックが非常に重要です!


【まとめ】事業譲渡を法務・人事・経営の視点から理解しよう!

今回紹介した5つの設問は、いずれも実務の現場で非常に重要な判断を迫られるテーマばかりです。

とくに管理職を目指すビジネスパーソンにとっては、「意思決定の正当性」「契約・人材・債務・目的」の各視点から、法的根拠をもとに判断できる力が求められます。


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