こんにちは!
この記事では、ビジネス実務法務検定2級における「株式」に関する重要知識を、設問とセットで解説していきます。
あなたがもし、将来的に管理職を目指すビジネスパーソンであれば、会社の意思決定や株主対応の知識は必須です。
だからこそ、制度の正しい理解と、実務にどう関わるかを、今のうちから押さえておきましょう!
設問①:自己株式に議決権はあるのか?
設問:
株主総会における議決権は、株主が株式会社の意思決定に参加するための権利であるから、甲社はその取得した自己株式について議決権を有する。
解説:
→ 誤りです。
自己株式とは、会社が自社で発行した株式を買い戻したものです。
この株式はもはや「株主のもの」ではないため、議決権は一切行使できません。
実務でも、議決権の集計をする際に、自己株式を含めてしまうと誤集計になる恐れがありますので、注意が必要です。
設問②:剰余金の配当を株主ごとに変えていい?
設問:
甲社は定款で定めることにより、剰余金の配当について株主ごとに異なる取り扱いをすることができる。
解説:
→ 正しいです。
会社法では、定款に明記すれば、株主ごとに異なる配当の設計が可能とされています。
例えば、特定の種類株主に対して優先的に配当を行う、といった形も可能です。
ただし、定款での明示がなければ原則として持株数に応じた配当となるため、その点は実務での設計にも大きな影響を与えます。
設問③:単元株制度は導入可能?
設問:
甲社はその発行する株式について、一定の数の株式を持って、株主が株主総会で1個の議決権を行使する単元株制度を定款で定めることができる。
解説:
→ 正しいです。
会社は、単元株制度を定款で導入できます。
これは、「100株につき1議決権」など、株主総会での議決権行使単位を制限するものです。
株式の流通性を確保しつつ、企業側にとっては意思決定を迅速にするメリットがあります。
設問④:1株だけでも訴えられる?責任追及訴訟の株主権
設問:
甲社の株主が有する権利のうち、取締役に対する責任追及等の訴えを甲社に請求する権利は、1株のみを保有する株主でも行使できる単独株主権である。
解説:
→ 正しいです。
これは、いわゆる単独株主権に該当します。
たとえ1株だけ保有していたとしても、「取締役に対する責任追及請求」はできます。
つまり、少数株主でも会社に対して健全な経営を求める“監視の目”となれるのです!
設問⑤:通知の発信時点で「到達」したとみなせる?
設問:
株主名簿が電磁的記録によって作成されている場合、甲社は株主総会招集等の通知を、名簿記録に基づいて通知し、発信した時点で到達とみなされる。
解説:
→ 正しいです。
この仕組みは、いわゆるみなし到達制度です。
電磁的記録が用いられることで、通知が物理的に届いていなくても「発信されたときに届いた」とみなされます。
これは、手続きの迅速化やコスト削減に貢献します。
設問⑥:公開会社の議決権制限株式は制限あり?
設問:
株式会社は、株主総会において議決権を行使することができる事項について、制限のある株式(議決権制限株式)を発行することができるが、会社法上の公開会社においては、議決権制限株式の数が発行済株式総数の2分の1を超えたときは、直ちに議決権制限株式の数を発行済株式総数の2分の1以下にするための必要な措置を取らなければならない。
解説:
→ 正しいです。
会社法では、公開会社における議決権制限株式の割合に上限があります。
議決権制限株式が発行済株式の過半数を超えると、会社は速やかに調整する義務があるのです。
これは、少数株主の議決権を不当に奪うことを防ぎ、企業統治の健全性を保つためのルールです。
設問⑦:取得条項付き株式は定款で定められるか?
設問:
株式会社は、その発行する全部の株式の内容として、一定の事由が生じたことを条件として、当該株式を取得できる旨を定款に定めることができる。
解説:
→ 正しいです。
このような株式を取得条項付株式といいます。
たとえば「役員退任時に会社が株式を買い取る」など、特定の事由で自動的に会社が取得できるとするものです。
これは、経営の安定性確保や外部流出の防止に使われます。定款で明示的に定める必要があります。
設問⑧:単元株式数の上限はある?
設問:
株式会社は、その発行する株式について、一定数(単元株式数)の株式を持って、株主が株主総会で1個の議決権を行使する単元株式とすることができる。この単元株式数の上限についての規制はなく、任意の数を単元株式数と定めることができる。
解説:
→ 誤りです。
会社法では、単元株制度において「上限は定められていない」わけではありません。
実務的には、1,000株が上限とされており、定款で定める際にも注意が必要です。
誤って常識外れな単元株数を設定すると、株主が議決権を行使できなくなるリスクがあります。
設問⑨:基準日制度とは?
設問:
株式会社は一定の日(基準日)を定めて、その日現在の株主名簿に記載された株主を、株主として権利を行使することができる者と定めることができる。
解説:
→ 正しいです。
これを「基準日制度」といいます。
たとえば、「3月31日時点の株主が6月の株主総会で議決権を行使できる」といった設定が可能です。
この制度により、株主名簿の管理や通知発送の事務負担が大きく軽減されます。
設問⑩:株券は原則発行する?
設問:
会社法上、株式会社はその発行する株式について、原則として株券を発行するものと定められているが、定款において株券を発行しない旨を定めた場合に限り、株券を発行しないことができる。
解説:
→ 誤りです。
現在の会社法では、原則「株券不発行制度」です。
つまり、定款に株券を発行する旨を定めた場合に限って、株券を発行することができます。
従来の制度から変わっている点ですので、過去の知識で混乱しないよう注意しましょう。
設問⑪:剰余金や残余財産の分配をしない株式?
設問:
X株式会社は、定款に定めを設けることにより、剰余金の配当を受ける権利および残余財産の分配を受ける権利の全部を株主に与えないとすることができる。
解説:
→ 正しいです。
これは「無配株式」「残余財産分配請求権なし株式」と呼ばれるもので、定款で特別に定めることができます。
ただし、これはあくまで「種類株式」としての扱いであり、通常株式に対して一律に適用することはできません。
設問⑫:人数に応じた配当はできる?
設問:
X株式会社は、定款に定めを設けることにより、剰余金の配当について、株式の持ち株数の多寡に関係なく、株主の人数に応じて均等に配当することができる。
解説:
→ 誤りです。
配当は原則として持株比率に応じて配分されるのが基本です。
定款で特別に定めた「種類株式」であれば配当方法を変えることができますが、人数に応じた配当は制度上存在しません。
実務的にも違法配当とみなされる可能性がありますので注意が必要です。
設問⑬:単元株式数を任意に定められる?
設問:
X株式会社は単元株式数を設定する場合、単元株式数が所定の上限を超えない限り、定款で任意の数を単元株式数と定めることができる。
解説:
→ 正しいです。
単元株制度は、会社が自由に導入できますが、法律上は1,000株が上限です。
つまり、この範囲内であれば、会社の都合に合わせて自由に設定可能ということです。
設問⑭:株式は仮差押えできる?
設問:
X株式会社の株主Aは、第三者Bから5,000,000円を借りたが、返済期日に返済できなかった。この場合、BはAに対する貸金債権を被保全債権、Aが保有するX社の株式を目的物件として仮差押えすることができる。
解説:
→ 正しいです。
株式は、財産権としての性質を持つため差押え可能です。
実務でも、貸金債権の回収のために、株式を仮差押えの対象とするケースはあります。
設問⑮:基準日で議決権を固定できる?
設問:
X株式会社は、たとえば3月31日を基準日と定め、当該基準日の株主名簿に記載されている株主を、定時株主総会において議決権を行使する者と定めることができる。
解説:
→ 正しいです。
このように、基準日制度によって、誰が議決権を持つかを固定できます。
議決権の集計や、招集通知の送付先を明確にするために、極めて実務的に重要な制度です。
まとめ
この記事では、ビジネス実務法務検定2級における「株式」について解説しました。
これらの知識は、実務でも頻出の内容であり、将来管理職として会社運営に関わるあなたにとって、必須の知識です。
「株式」に関するテーマは、会社運営の根幹に関わる内容ですので、理解を深めておくことが、将来の大きな武器になります。
各項目の理解度を自己チェックしながら、次のステップへと進んでいきましょう!

コメント