株式会社の解散と清算の基礎知識|管理職が知っておくべき重要ポイント~ビジネス実務法務検定試験2級~

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企業活動の終わりには、「解散」と「清算」という大切なプロセスが待っています。

この流れを正確に理解しておくことは、法務部門だけでなく、管理職としてのリスク対応力や意思決定の正確さにも大きく関わるポイントです。

本記事では、ビジネス実務法務検定2級の設問をベースに、「株式会社の解散と清算」について、間違いやすいポイントを徹底解説します!


設問①:清算人になるのは、原則として誰?

設問①

取締役は、定款の定めや株主総会決議により、取締役以外のものが清算人となる場合を除き、清算人となる。

正解:〇(正しい)

解説:原則は取締役が清算人。ただし例外あり!

株式会社が解散した場合、清算手続きに入りますが、このとき、誰が清算人になるかは非常に重要です。

会社法では、特別な定めがない限り、解散時の取締役がそのまま清算人になるとされています(会社法第476条第1項)。

ただし、定款に別段の定めがある場合や、株主総会で特に別の清算人を選任する決議がなされた場合には、取締役以外の者が清算人となることも可能です。

実務では、税理士や弁護士など外部の専門家を清算人とするケースもあります。

要約

株式会社が解散した場合、原則として取締役が清算人となりますが、定款や株主総会決議によって、別の人物が清算人に選ばれることもあります。

解散した後、会社をたたむ作業をする人(清算人)は、ふつうは今の取締役がそのまま担当します。ただし、事前に「違う人にする」と決めていれば、別の人がなることもできます。


設問②:複数の清算人がいる場合、代表清算人が選ばれる?

設問②

清算株式会社の複数の清算人全員で清算人会が組織される場合、原則として清算人の中から代表清算人が選定され、当該代表清算人が清算株式会社を代表する。

正解:〇(正しい)

解説:清算人が複数いる場合の「代表者」の役割

清算人が2人以上いる場合は、会社法上、「清算人会」という意思決定機関を設けることになります。

この清算人会のメンバーである複数の清算人の中から、代表清算人が原則として選ばれ、その者が会社を代表します(会社法第480条)。

清算中であっても、会社の権利義務は存続しているため、代表者の選定と責任は重要です!

要約

清算人が複数いる場合には、清算人会を構成し、その中から代表清算人を選び、会社を代表する仕組みが基本です。

清算人が何人もいる場合は、その中から1人をリーダー(代表清算人)に選んで、その人が清算中の会社を代表することになります。


設問③:清算人の主な業務内容とは?

設問③

清算人は、清算事務として、現務の結了、債権の取り立て及び債務の弁済、残余財産の分配を行う。

正解:〇(正しい)

解説:清算人の役割は「残務処理の責任者」

解散後の株式会社では、清算人が「会社の残務処理」を担当します。その業務内容には、主に以下の3つが含まれます。

  1. 現務の結了(業務の整理)
  2. 債権の取り立てと債務の弁済(回収と支払い)
  3. 残余財産の分配(株主への分配)

これらは、会社法第481条に明記されており、事業活動の終了後、適切に権利関係を整理するための必須業務とされています。

要約

清算人は、現務の整理、債権回収と債務支払、残った財産の分配などを行う「解散後の責任者」です。

清算人の主な仕事は3つです。

①いま進んでいる仕事を片づける、②お金の回収と支払いをする、③残った財産を株主に配る、という会社の後片づけ全般を担当します。


設問④:清算株式会社は株主総会を開かなくていい?

設問④

清算株式会社は、株主総会を開催し、株主に清算事務等の報告等を行う必要は無い。

正解:×(誤り)

解説:清算中でも「株主総会の開催義務」はある!

会社が清算中であっても、株主に対する説明責任は継続しています。

清算人は、年1回以上、清算事務の経過報告書を作成し、株主総会に報告しなければならないと定められています(会社法第499条)。

また、清算が完了した際には、最終報告書を作成し、株主総会の承認を得る必要があるのです(会社法第510条)。

要約

清算中であっても、株主総会を開催して清算報告を行う義務があり、会社の説明責任は続きます

会社をたたむ途中でも、株主に進捗を説明するために、ちゃんと株主総会を開かないといけません。会社の説明責任は、清算中も終わりません。


設問⑤:一度解散したら、会社を継続することはできない?

設問⑤

株式会社は、一旦株主総会において、解散決議をしたときは、株主総会の特別決議によっても会社を継続することはできない。

正解:×(誤り)

解説:「解散の取消し」は特別決議で可能!

一度、株主総会で解散を決議したとしても、清算結了前であれば、特別決議によりその解散を撤回し、会社を継続させることが可能です(会社法第492条)。

ただし、継続には清算人が作成する財産目録や貸借対照表の承認も必要で、慎重な手続きが求められます。

実務では、事業の再開やM&A交渉の成立などによって「継続」が選択されることもあります。

要約

株式会社は、一度解散を決議しても、特別決議により清算を止めて会社を継続することが可能です。

「解散する」と決めたあとでも、まだ手続きが終わっていなければ、再び株主総会で『やっぱり会社を続けよう』と決め直すことができます。 継続も可能なんです!


【まとめ】株式会社の解散と清算で押さえておくべき5つの要点

設問正誤ポイント
①清算人になるのは原則、解散時の取締役が清算人になる
②代表清算人複数清算人がいる場合、代表清算人が会社を代表
③清算人の業務内容清算人は現務の結了・債権債務の処理・財産分配を担当
④株主総会の開催×清算中も株主総会を開催し、報告義務あり
⑤会社の継続×清算中であれば特別決議で会社を継続できる

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