あなたの会社に、監査役は何人いますか?
その監査役、本当に「社外」監査役として機能しているでしょうか?
会社の監査体制は、企業ガバナンスの根幹を支える仕組みです。
特に、管理職を目指すビジネスパーソンにとっては、監査役の役割と設置基準を正しく理解しておくことが、リスク管理や法令遵守の観点から極めて重要です。
この記事では、ビジネス実務法務検定2級の出題範囲「監査役等」をもとに、実務で役立つ知識を解説します!
さあ、あなたも一緒に“ガバナンス力”を鍛えましょう!
設問①:監査役の人数と社外監査役の比率に関する規定
問題:
甲社の監査役として、Aを含めて5名が選任されている場合、そのうち2名が社外監査役であれば足りる。
解説:
会社法では、監査役会を設置している会社においては、以下の2点が義務付けられています。
- 監査役は3名以上でなければならない(会社法第335条第3項)
- そのうち半数以上は社外監査役でなければならない
つまり、甲社が監査役を5名設置している場合、3名以上は社外監査役でなければならないのです。
2名では要件を満たしていません。
正解:誤り
実務ポイント:
社外監査役が半数以上でなければならない理由は、「社内出身者だけでは監査が甘くなる」というリスクへの対処です。
客観性・中立性が確保されることで、企業は社会からの信頼を獲得できるのです!
設問②:監査役会設置会社であれば、会計監査人の設置は義務?
問題:
甲社は大会社ではないが、監査役会設置会社であるため、会計監査人の設置を義務付けられる。
解説:
この設問は一見すると正しそうですが、実は誤りです。
会社法第328条では、会計監査人の設置が義務となる会社は以下のいずれかに該当する場合とされています:
- 大会社であること
- 公開会社であり、かつ監査役会設置会社であること
甲社が「大会社でない」かつ「非公開会社」であるならば、たとえ監査役会を設置していても、会計監査人の設置義務はありません。
正解:誤り
補足:
「大会社」の定義は、資本金5億円以上または負債総額200億円以上のいずれかを満たす株式会社です。
この境界を意識しておくことで、自社のガバナンス設計に関する戦略的判断が可能になります。
設問③:監査役の選任議案を出すには、誰の同意が必要?
問題:
甲社の取締役Bは、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するときは、甲社の監査役会の同意を得なければならない。
解説:
そのとおりです!
会社法第343条第1項により、監査役を選任する株主総会議案を提出するには、監査役会の同意が必要です。
これは、経営陣による恣意的な人事を防ぎ、監査役の独立性を守るための制度です。
正解:正しい
ビジネス視点での意味:
管理職として覚えておくべきは、「ガバナンスの構造上、監査役は経営から独立している存在である」という前提です。
このプロセス設計こそが、社内の信頼性を構築する礎となるのです。
設問④:監査役が会計参与を兼ねることはできる?
問題:
甲社は、その定款に定めることにより、監査役Aに甲社の会計参与監査を兼務させることができる。
解説:
これは明確に誤りです。
会計参与は、取締役と一緒に計算書類の作成を行う役割です。
一方、監査役は、その計算書類を監査する側です。
つまり、自分が作成した書類を自分で監査することになってしまい、利益相反の状態が発生します。
このため、監査役と会計参与は兼務できません(会社法第333条第1項、会社法施行規則第112条)。
正解:誤り
補足:
定款でどう定めようとも、会社法の上位規定に反する内容は無効となります。
ここでの誤解は、法務担当者であっても陥りやすいポイントです。
設問⑤:監査役の監査権限は妥当性にも及ぶ?
問題:
監査役Aへの業務監査の権限は、取締役の行為についての適法性の監査であり、原則として妥当性の監査には及ばない。
解説:
まさにそのとおりです!
監査役の業務監査とは、「取締役の職務執行が、法令・定款に違反していないか」をチェックする、いわゆる適法性監査です。
経営判断の妥当性(効果的かどうか)までは、原則として監査の範囲外です。
ただし、不合理な意思決定や明らかな背任行為がある場合には、例外的に妥当性に踏み込む場合もあります。
正解:正しい
実務での教訓:
管理職に求められるのは、「適法性の確保は監査役が見るが、妥当性は自分たち経営陣が責任を持つ」という意識です。
リーダーシップと責任は切り離せません!
まとめ:監査役制度を正しく理解して、リスクに強い経営判断を!
「監査役って、会社にとってどんな意味があるの?」
その疑問に、本記事が明確な答えを与えられたなら幸いです。
今や、法務・ガバナンスの知識は管理職にとって必須の武器。
会社を守り、社員を守り、ビジネスを前進させるために、ぜひこうした知識を実務へ活かしていきましょう!
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