【QC検定2級】分散とは何か?母分散と標本分散の違いをわかりやすく解説!

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  1. はじめに:「分散」がわからず困っていませんか?
  2. 1. そもそも「分散」とは?
    1.  分散は「データのばらつき具合」を示す指標
      1.   直感的なイメージ
  3. 2. 分散の基本的な考え方
  4. 3. 分散の計算方法(標準パターン)
    1.  基本式(標本分散の場合)
      1. 用語の意味
  5. 4. 具体的な例で計算してみよう!
    1.  例題:製品の寸法を5つ測定した場合
    2. 補足:分散の単位と「標準偏差」との違い
  6. 5. 「母分散」と「標本分散」の違いとは?
    1.  母分散(σ²)とは?
    2.  標本分散(s²)とは?
    3.  なぜ「n-1」で割るのか?
    4.  分散の公式と計算ステップ
      1.  母分散の公式(全体のデータが分かっているとき)
      2.  標本分散の公式(一部サンプルだけ使うとき)
      3.  分散の意味
  7. 6. 母分散と標本分散の使い分け
    1. 分散の具体例①(母分散を使う)
      1. 例題:次のテスト点数(5人分)の分散を求めてください
        1. ステップ①:平均(期待値)を求める
        2. ステップ②:「各値 − 平均」を計算
        3. ステップ③:「差の2乗」の平均を求める(母分散)
        4. ステップ④:結果(母分散)
    2. 分散の具体例②(標本分散を使う)
      1. 例題:次の代表5人の身長から分散を求めてください
        1. ステップ①: 平均\((\bar{x})\)を求める
        2. ステップ②: 偏差を求める(各データ − 平均)
        3. ステップ③: 偏差の2乗を求める
        4. ステップ④: 標本分散を求める(n−1 = 4 で割る)
  8. 7. ビジネス現場での「分散」の活用法
    1.  QC検定や品質管理におけるポイント!
      1. 使い分ける具体的な事例
  9. まとめ:分散のポイントをおさらい!
  10.  次に知っておきたい!分散からの発展
  11.  次回の記事予告
    1.  おすすめ学習資料(QC検定対策におすすめ)

はじめに:「分散」がわからず困っていませんか?

「分散」と聞いて、何となく“ばらつき”のことだとは分かっても、

「実際にどう使うのか?」「母分散と標本分散の違いがわからない…」

という方は多いのではないでしょうか?

この記事では、分散の意味と使い方を、具体例とともに丁寧に解説します!

QC検定2級の試験対策にも活用できるよう、ビジネス実務に即した視点でまとめました。


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1. そもそも「分散」とは?

 分散は「データのばらつき具合」を示す指標

分散(variance)とは、「データが平均からどれくらい散らばっているか」を表す指標です。

つまり、「バラつきの度合い」を数字で示したものです。

例えば、ある商品の製品重量を10個測定したとしましょう。

平均値が同じでも、それぞれの測定値にバラつきがあると、品質としては安定していない印象になりますよね?

その「ばらつき」の程度を数値化したものが 分散(variance) です。

  直感的なイメージ

  • データが平均にギュッと集まっていれば、分散は小さくなります。
  • データがバラバラで平均から離れていれば、分散は大きくなります。

2. 分散の基本的な考え方

✔ 分散のイメージ:全体のデータが平均からどれだけ離れているかを測る

分散は、各データが平均からどれくらい離れているかを表します。

数学的には、次のように計算されます。


3. 分散の計算方法(標準パターン)

 基本式(標本分散の場合)

\(s^2 = \frac{1}{n-1} \sum_{i=1}^{n}(x_i – \bar{x})^2\)

用語の意味

  • \(x_i\):個々のデータ値
  • \(\bar{x}\):データの平均値(xバー)
  • n:データの個数
  • \(s^2\):標本分散(sample variance)

つまり、「それぞれのデータと平均の差」を2乗して、全部足して、(n−1)で割ることで分散を求めます。


4. 具体的な例で計算してみよう!

 例題:製品の寸法を5つ測定した場合

測定値(mm)
10.2
9.8
10.0
10.1
9.9

まず、平均値を計算します。

\(\bar{x} = \frac{10.2 + 9.8 + 10.0 + 10.1 + 9.9}{5} = 10.0\)

次に、各データと平均値との差を2乗して合計します:

\((10.2 – 10.0)^2 = 0.04,\quad (9.8 – 10.0)^2 = 0.04\) \((10.0 – 10.0)^2 = 0,\quad (10.1 – 10.0)^2 = 0.01,\quad (9.9 – 10.0)^2 = 0.01\)

合計すると:

0.04 + 0.04 + 0 + 0.01 + 0.01 = 0.10

最後に、n−1で割って標本分散を求めます:

\(s^2 = \frac{0.10}{5 – 1} = \frac{0.10}{4} = 0.025\)

つまり、この製品群の分散は0.025 mm²です。

補足:分散の単位と「標準偏差」との違い

  • 分散の単位は「元の単位の2乗」になります(例:mm²、kg²など)
  • 実務では「標準偏差」=分散の平方根を使う方が分かりやすいです!
\(s = \sqrt{s^2}\)

上の例だと、標準偏差は

\(s = \sqrt{0.025} ≒ 0.1581\)

という形になります。


5. 「母分散」と「標本分散」の違いとは?

 母分散(σ²)とは?

母集団(全体)の分散。

→ 全数のデータがあるときに使います。

\(\sigma^2 = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n}(x_i – \mu)^2\)

事例:

  • 工場で全数検査して、すべての製品の寸法を把握しているとき。
  • データの全体(母集団)をすべて持っているとき。

 標本分散(s²)とは?

母集団の一部=サンプル(標本)だけを使って計算した推定値。

→ 普段の測定やQCでは、こちらが基本!

\(s^2 = \frac{1}{n-1} \sum_{i=1}^{n}(x_i – \bar{x})^2\)

事例:

  • 工場で1000個の中から50個だけ抜き取って検査して平均やばらつきを推定する。
  • アンケート調査で、一部の人の意見から全体を推測したいとき。

 なぜ「n-1」で割るのか?

標本は母集団の一部なので、平均が母集団の真の平均からズレている可能性があります。

このズレを補正するために、あえて「n−1」で割って、バラつきを少し大きく見積もるのです。

これを「不偏分散(ふへんぶんさん)」とも言います。

→ 標本平均を使って計算することで、1つ自由度を使ってしまっているため、ばらつきを正確に見積もるには「n−1」で割る必要があります。これは統計学の世界ではとても重要な考え方です!

標本から母分散を推定するときは、少し大きめに見積もる補正が必要です。

そのため、割る数を1つ減らして「n−1」にするのです(不偏分散の考え方)。


 分散の公式と計算ステップ

 母分散の公式(全体のデータが分かっているとき)

\(\sigma^2 = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n}(x_i – \mu)^2\)
  • \(x_i\):各データ
  • \(\mu\):平均(期待値)
  • n:データの数

 標本分散の公式(一部サンプルだけ使うとき)

\(s^2 = \frac{1}{n-1} \sum_{i=1}^{n}(x_i – \bar{x})^2\)
  • \(\bar{x}\):標本平均
  • n-1 で割る理由は、「小さめに出るバイアス(偏り)」を補正するためです。

 分散の意味

分散というのは、平均から離れている度合いの指標です。

でも単位が「点数の2乗(点²)」になってしまうので、

現実的にはこの「分散」の平方根をとった標準偏差(σ)をよく使います。


6. 母分散と標本分散の使い分け

状況使用する分散割り方使用例
全データ(母集団)が揃っている母分散(σ²)nで割る工場の全製品寸法を測定したとき
一部サンプルのみ(標本)標本分散(s²)n−1で割る抜き取り検査や調査のとき

分散の具体例①(母分散を使う)

例題:次のテスト点数(5人分)の分散を求めてください

【データ】60点、70点、80点、90点、100点


ステップ①:平均(期待値)を求める
\(\mu = \frac{60 + 70 + 80 + 90 + 100}{5} = \frac{400}{5} = 80\)
ステップ②:「各値 − 平均」を計算
データ x_i差 x_i – \mu2乗 (x_i – \mu)^2
60-20400
70-10100
8000
90+10100
100+20400

ステップ③:「差の2乗」の平均を求める(母分散)
\(\sigma^2 = \frac{400 + 100 + 0 + 100 + 400}{5} = \frac{1000}{5} = 200\)
ステップ④:結果(母分散)
\(\boxed{200}\)

分散の具体例②(標本分散を使う)

例題:次の代表5人の身長から分散を求めてください

5人の身長のデータ(単位:cm)

168, 170, 172, 169, 171

ステップ①: 平均\((\bar{x})\)を求める
\(\bar{x} = \frac{168 + 170 + 172 + 169 + 171}{5} = 170\)
ステップ②: 偏差を求める(各データ − 平均)
  • 168 − 170 = −2
  • 170 − 170 = 0
  • 172 − 170 = +2
  • 169 − 170 = −1
  • 171 − 170 = +1
ステップ③: 偏差の2乗を求める
  • (−2)² = 4
  • (0)² = 0
  • (+2)² = 4
  • (−1)² = 1
  • (+1)² = 1

合計:4 + 0 + 4 + 1 + 1 = 10

ステップ④: 標本分散を求める(n−1 = 4 で割る)
\(s^2 = \frac{10}{4} = 2.5\)

7. ビジネス現場での「分散」の活用法

 QC検定や品質管理におけるポイント!

  • 異常値の有無や、工程の安定性を判断する基礎資料として分散が活躍!
  • 製品のバラツキが小さい=品質が安定している証拠!

使い分ける具体的な事例

シーン使うべき分散理由・背景
社内の全従業員100人の給料データを全件持っている母分散母集団を全て観測しているため
全国の高校生の身長を調査するため、100人を無作為に抽出標本分散母集団はあくまで「全国の高校生」なので、サンプルを使って推定する必要あり
工場の製品1万個のうち、100個だけ測定標本分散全体を測れていないため、バラつきを推定する必要がある

まとめ:分散のポイントをおさらい!

項目内容
分散とは平均からのデータのばらつきを数値化したもの
標本分散の式\(s^2 = \frac{1}{n-1} \sum(x_i – \bar{x})^2\)
母分散の式\(\sigma^2 = \frac{1}{n} \sum(x_i – \mu)^2\)
違い標本分散は「n−1」で割る。不偏推定のため
単位元の単位の2乗。標準偏差にすると単位が元通り
活用品質管理、異常検知、工程能力指数などに必須!

 次に知っておきたい!分散からの発展

  • 分散の平方根が「標準偏差」
  • 分散が小さい ⇒ 工程が安定
  • 工程能力指数(CpやCpk)にも分散や標準偏差が関係!

 次回の記事予告

次回は、この分散も出てくる「基本統計量」について、詳しく解説していきます!


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