昨今、転職によるキャリアアップを目指し、他業種へ転向することが取り上げられている。
これまで培ってきた、知識やスキル、経験に裏打ちされた思考など、個人の持つ特性を活かして、次のステージでの活躍を期待したとき、自分自身が持つマネジメントの方法は役に立つのか考えてみる。
この記事では、マネジメントの王道が他業種への転職において役に立つのか?業種の壁を超えるのか説明します。
異なる業界でのマネジメント
これまで製造現場の第一線で活躍してきたAさん。入社以来、現場たたき上げでスキルを磨き、人脈を広げ、その活躍が評価されマネジャーへと昇格した。そんなAさんが自分自身のキャリアアップを目指し、転職で他業種での活躍を描いた。例えばIT業界。例えば経理。例えば法務。例えば飲食。といったように全く異なる業界へ転職したときに、今まで学んできたマネジメントスキルで通用するのか?通用しないのか?同じ方法でよいのか?異なる方法が必要なのか?
結論としては、マネジメントの根本は変わらないが、実際の行動においては、変わる部分と変わらない部分があるという事になる。マネジメントの根本となる王道、考え方は、マネジメントと言う観点において基本通じる部分がある。
変わる部分と変わらない部分
マネジメントとは、ある目的に向かって組織を先導するための役割であり、メンバーが困っていれば手を添え、進む方向を指し示し、一緒に行動していくことでそこは変わらない。
この基本的な考え方は、業種によって変わらないが、それぞれの業界や職種、会社で大切にしていることがある。このため、それぞれの立場で目指しているゴールが異なり、求めているものが違っても、結果的には、目的達成に向け導く、働きやすい環境を整備する、部下を指導し共に成長していくなどのマネジメントが求められる。
マネジメントの原理原則は同じであるため、基本的な骨子、王道は変わらない。業界の壁を超える。このため、マネジャーとして組織運営、日々の業務遂行は全体を考慮した対応を意識し、メンバーの成長や組織の強化といった原理原則は同じと言える。
が、しかし、異なる部分、変わる部分も存在する。
スポーツで例えると理解しやすい。どのようなスポーツ競技においても勝つために必要な同じトレーニングがある。基礎体力や筋力トレーニングは必要だし、ある一定のメンタルトレーニングも同じで共通する部分である。
しかし、スポーツ競技によって、その試合に勝つためのトレーニングは、その種目によって大きく異なる。鍛えるべき体のつくり方、試合に勝つための戦略、磨き上げるスキルも異なる。
このように、これまでAさんが長年培ってきた自分自身のマネジメントスキルが、業界を超えて対応できるか?との疑問への回答としては、変わらないため大切にして更に磨きを掛ける部分と、これまでのやり方では通用しない部分があることを認識し、根本は同じだけど各論は違うという事になる。
慣習の違い
業界が異なれば慣習も違うことは容易に想像できる。IT業界に勤める人と美容業界に勤める人、飲食業化に勤める人、官公庁に勤める人、それぞれのITリテラシーは異なると考えられるだろう。
このため、それぞれの業界に導入されているツールも異なるし、使っているツールも異なることは当然である。よって、その環境や状況に対してのマネジメントも異なるのは当然である。
仮に、Aさんが製造現場で培った知識や道具をIT業界へ展開し、現在よりもより合理的で便利な方法を提案できればいいと考えても、提案を受けた相手側に、それを受け入れる慣習や体制がなければ容易に拒否されてしまう。それぞれの環境が持つ、大切にしている考え方とのギャップについてメンバーに理解させると事から始まるが、これはとても大変なことである。
どれだけいいと思ったやり方を提案しても、業界が受け付けず、別のやり方を希望されればマネジメント方法が違っていると言われてしまう。
慣習と合わせて、その業界の環境と言う面でも同様な考え方が必要となる。例えば、その業界を構成する人におてい、正社員とアルバイトの比率が異なる、一方は大卒が多く、理工系が多い組織形態に対し、一方は学歴を意識すらしないといったような環境も想定される。このような環境の違いにより、根本的な考え方にも違いがあることは十分考慮する必要がある。
このような環境、状況ではコミュニケーションの取り方も変わるし、コミュニケーションの取り方が変わるという事は、マネジメントの方法を変える必要あるという事に繋がってくる。
人に何かを教える、教育するといった点で見た場合も、できない相手に、できるようになってもらうために丁寧に指導すると言った行為は、小学生でも大学生でも同じであるが、伝え方や方法が異なるという事と同義である。
よって、マネジメントの原理原則は同じだが、やり方、伝え方などが異なることは意識しなければならない。
同じ業界でも変わること
業界が同じでも会社によって異なる考え方を持っていることは多分にしてある。これは会社によって大切にしていることが異なるためである。
同じような商品を販売している会社でも、理念が全然違うし、企業としての成り立ちが違うと経営者が大切にしていることも異なる。同じ会社でも社長が変われば時代によって大切にするものが大きく異なってくる。
このようなことから、同じ業界といえども、企業の理念や文化ができくる過程も異なり、組織もことなるのであるから、業界として同じような商品を取り扱っていても、思想とやり方が全然異なってくる。マネジメントの原理原則は同じであるが、やり方が違えばマネジメントの方法も変わってくる。
何を大切にしているのかは企業文化によって違う。売上を第一に優先する企業もあれば、顧客満足度が重要と考える企業もある。これは、それぞれ思想が異なることは理解しておく必要があるという事で、どちらかが正しいとか正しくないとか、良いとか悪いという話ではない。
その企業が持つ文化を前提とし、自分自身の思考が、その企業文化に賛同できるのか?という点や、その組織の中でマネジメントしていくときに、何を大切にして、どのように進めていくべきか?と言う自分自身が納得して行動していくことになる。
同じ会社内での部署異動に伴うマネジメントの違いについても同義である。その部署が大切にしていることや、目指しているゴールの方向性を確認するために、メンバーとコミュニケーションの時間を十分取って共有し、自分自身が把握してマネジメントの行動に移していくことが大切である。
学びを応用できるか
マネジメントの王道を貫いていくのに、業界の違いがあることを理解したうえで、マネジメントの方法について考えることができる人と、できない人では結果もやはり変わってくる。
繰り返し述べてきたとおり、マネジメントの原理原則は同じであるのだから、そこを理解して導入すれば、業界が違っても共通して同じように使えるところがあり、違った視点で参考にできると考えることができる。
全く未経験の分野から見聞きした知見においても、これまで学んだことや、新しく知ったことを、自分がもしその業界にいたら?と仮定し、その事例を基に対応策を学びへと変換することは意識したい。
今、自分が所属する業界や組織の状況に照らし合わせ、学んだことが「どのようにすれば活かせるのか?」と常に考えて行動できる人が、優秀なマネジャーになっていくことは容易に想像できる。
まとめ
マネジメントの王道は業界の壁を越え通用するものなのか?と聞かれれば、マネジメントの原理原則は同じなので、その現状の業界や環境を考慮した方法へ変換することにより通用する。しかし、それだけで、そのままで、では通用しない。常にどのようにしていけばいいのか?と考え、行動することが大切である。
これまで経験してきた業界の成功経験をもとに他業種でも同じことをやればいい、と安易に考えて成功するかと言えば、相手が異なるのだから成功するとは限らない。
学びを活かす想像力も必要で、異なる環境や状況に対応するには、そこは何が大切になのかと考え、自分自身が培ってきたスキルを活かせる提案へと繋げていきたい。
チーム、組織の目的を達成する、組織、メンバーの最適化運営、組織メンバーがこれまで、できなかったことをできるようにスキルアップ指導する、といったようなマネジメントの原理原則を勉強し、その業界における各論に適合するように再構築していくことが大切である。
以上、マネジメントの王道は業種の壁を超えるのか?について説明しました。参考になればうれしいです。
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