監査役の実務を理解する!管理職を目指すあなたが知っておくべき「監査役(その2)」の法務ポイントとは?~ビジネス実務法務検定試験2級~

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「監査役なんて法務部に任せればいい」と思っていませんか?

実は、監査役の役割や法律上の位置づけを理解していないと、経営判断を誤るリスクがあるんです!特に公開会社では、取締役や管理職が法律の基本を知っておくことが、トラブルを未然に防ぐカギとなります。

会社経営を支えるうえで欠かせない存在――それが「監査役」です。特に公開会社では、法的なルールや役割が厳格に定められており、管理職やマネジメント層を目指すビジネスパーソンにとって、この制度の理解は避けて通れません。

今回は、ビジネス実務法務検定2級「監査役等」に関する設問を通して、公開会社における監査役の具体的な権限や制限、設置要件などを解説していきます。重要ポイントをしっかり押さえて、法務リテラシーを一段と高めましょう!


【前提】X株式会社の状況について

まず、前提条件を確認しましょう。

  • X株式会社は、会社法上の「公開会社」です。
  • X社には、監査役が1名(A)だけいます。。

この前提をもとに、以下の設問に進んでいきます。


設問①:監査役は取締役の違法行為を止められるのか?

設問:

AはX社の取締役Bが、X社の目的の範囲外の行為をしている場合において、その行為によってX社に著しい損害が生じる恐れがあるときには、Bに対しその行為を止めることを請求することができる。

→ 正解:〇(正しい)

【解説】

監査役は、会社に著しい損害を及ぼすおそれがある取締役の違法行為に対して、「差止め請求権」を行使することができます。会社法第385条に基づき、たとえば会社の目的から逸脱するような取引や、明らかに不適切な契約締結行為に対しては、監査役がこれを止めることが可能なのです。

この制度は、会社のガバナンス体制を支える重要な防波堤!特に唯一の監査役であるAのようなケースでは、監査の目が会社の健全性を守る最後の砦となります。

【もっと分かりやすく解説!】

たとえば、X社が「情報システムの開発」を目的としているのに、取締役Bが「不動産投資に手を出そう」としていたら、これは会社の目的の範囲外の行為になりますよね。

もしそれによって会社に大きな損害が出るおそれがある場合、監査役Aは、Bに「その行為はやめてください」と法的にストップをかけることができるんです。

これは「差止請求権」と呼ばれ、監査役が会社の損害を未然に防ぐための大事な権限なんです!


設問②:会計監査限定の定款は可能?

設問:

X社は、Aの監査の範囲を会計に関するもの(会計監査)に限定する旨を定款で定めることができる。

→ 正解:×(誤り)

【解説】

監査役の監査の範囲を「会計に限定する(会計監査限定)」ことが認められるのは、公開会社ではない会社に限られます。公開会社であるX社の場合、業務監査を含めたフルスコープの監査を行う必要があるため、会計監査に限定する旨の定款規定を置くことは認められていません(会社法第327条)。

したがって、Aの監査権限は、会計だけでなく業務執行の適法性まで及ぶ必要があるのです。

【もっと分かりやすく解説!】

会計だけをチェックする監査役(=会計監査限定)は、小さな会社などでは認められることがありますが、公開会社ではそれができません!

X社は公開会社ですから、Aは会計だけでなく、取締役の行動や業務の進め方まで、しっかりチェックする必要があります。

つまり、「帳簿さえ見ていればOK!」ではなく、日々の経営や判断の妥当性も含めて見張るのが監査役の役目なのです!


設問③:監査役は取締役会で解任できる?

設問:

X社は、Aが適切にその職務を行っていない場合、取締役会の決議によりAを解任することができる。

→ 正解:×(誤り)

【解説】

監査役の解任は、取締役会ではなく株主総会の決議事項です(会社法第339条)。たとえ、監査役が職務を怠っていたとしても、取締役会の判断で勝手に解任することはできません。

このルールは、監査役の独立性を守るために設けられています。つまり、経営陣からの圧力によって監査役の立場が揺らがないように、しっかりと法律で保護されているのです。

【もっと分かりやすく解説!】

監査役は「取締役のチェック役」なので、もし取締役会で簡単にクビにできたら――どうなるでしょう?

そうです。チェック役としての独立性が保てなくなってしまいます!

だからこそ、法律では監査役を解任できるのは株主総会だけと決められているのです。取締役会では、解任できません。

つまり、「自分たちに都合の悪い監査役は外そう」という経営陣の勝手な判断から監査役を守る仕組みがあるんですね!


設問④:子会社の調査はできないのか?

設問:

Aはその職務を行うため、必要がある時であっても、X社の会社法上の子会社であるY社の財産の状況を調査することはできない。

→ 正解:×(誤り)

【解説】

会社法第381条では、監査役が会社及びその子会社の業務や財産の状況について調査する権限を有することが明記されています。つまり、X社の監査役Aも、必要があるときにはY社(子会社)の財産の状況を調査できるのです。

このように、グループ企業全体の健全性を監査役がチェックできる体制が整っている点も、会社法のガバナンス設計の一部です。

【もっと分かりやすく解説!】

「監査役は本社のことだけを見ていればいい」――これは大きな誤解です!

たとえば、X社の子会社Y社で不正が起きていたら、その影響は最終的にX社にも跳ね返ってきますよね? だからこそ、子会社の調査も監査役の仕事なのです。

実際に、法律でも「必要があれば子会社の調査もできる」とハッキリ書かれています(会社法第381条)。

つまり、本社もグループ会社も含めて、会社全体の健康状態を監査役が見守ることが求められているのです!


設問⑤:監査役会の設置要件は?

設問:

X社は監査役会を設置しようとする場合、Aの他に少なくとも2名の監査役を選任しなければならず、全監査役のうち、半数以上を、社外監査役としなければならない。

→ 正解:〇(正しい)

【解説】

会社法第390条により、監査役会を設置する場合は、監査役を3名以上置く必要があり、かつその半数以上は社外監査役でなければなりません

この規定により、経営陣から独立した外部の視点を持つ「社外監査役」が会社の監査体制において中核を担うことになります。したがって、Aのほかに最低2名の監査役を新たに選任し、そのうち2名以上が社外監査役でなければならないのです。

【もっと分かりやすく解説!】

監査役会は、複数の監査役で意思決定をするための組織です。ですから、最低でも3人の監査役が必要になります。

さらに、重要なのが「社外監査役」の存在。これは会社の内部の人ではなく、外部から招かれた独立した立場の監査役のこと。

会社の内部事情に染まりすぎた監査役ばかりでは、客観性が失われる危険があります。そのため、監査役全体の半数以上を社外監査役にするというルールがあるのです!

たとえば、監査役が3名なら、そのうち2人は社外監査役でなければならないということになります。


【まとめ】監査役制度を理解して、経営の透明性を支えよう!

ここまで解説してきたように、公開会社における監査役制度には多くのルールがあります。そして、取締役とは異なる視点で企業のガバナンスを守る重要な役割を担っているのです。

監査役は、ただの「チェック係」ではなく、会社を守る最後の砦です。特に管理職や経営層を目指す方にとっては、監査役制度の仕組みや背景を正しく理解しておくことが、実務や判断力の向上に直結します。

管理職を目指すビジネスパーソンにとって、このような監査役制度の理解は、将来的に経営層としての信頼性や判断力を高める武器になります。

さらに、このような法務知識は昇進試験や社内研修、さらには資格取得によるキャリアアップにも大きなメリットをもたらします!

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