「食品表示なんて専門部署の話でしょ?」と思っていませんか?
日々の業務に追われる中で、
「食品の表示や安全管理なんて、法務や品質管理の仕事でしょ?」
そんなふうに感じている方も、少なくないかもしれません。
しかし、いざ管理職という立場を目指すとなると、話は別です。
部下を持ち、事業全体をマネジメントする立場では、現場の声や消費者の目線に加えて、「法令遵守」や「企業リスク」への感度が求められるようになります。
特に食品業界や小売・流通など、消費者に直接商品を届けるビジネスにおいては、食品表示法や食品衛生法などの基本的な法知識を押さえていないと、知らないうちに違反していた…!なんてリスクも。
食品業界に関わる方はもちろん、管理職を目指すビジネスパーソンにとっても、「食品の安全・表示」に関する法的知識は避けて通れません。特に、食品表示法・食品衛生法・健康増進法・医薬品医療機器等法などに関連する違反行為は、企業リスクや信用失墜に直結します。
本記事では、ビジネス実務法務検定2級の過去問を題材に、実際の業務で役立つ「食品の安全・表示」に関するポイントを、わかりやすく・丁寧に解説していきます。
ひとつひとつの事例を通して、「なるほど、こういう場面に注意すべきなんだな」と実感していただけるはずです。
管理職を目指すあなたの「信頼される判断力」を、この記事でさらにレベルアップさせましょう!
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設問① 食品表示の義務に違反した場合の行政指導
【設問】
食品表示法上の食品関連業者であるA社は、その製造した加工食品甲に、食品表示基準で表示が義務付けられている事項の一部を表示せずに販売していた。この場合、同法上、A社は、行政上の措置として、加工食品甲に、当該事項を表示すべき旨の指示や命令を受けることがある。
【回答】正しい
【解説】
食品表示法では、消費者が適切に食品を選択できるように、加工食品には表示義務のある事項(名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法など)を明記する必要があります。
仮に一部でもこの義務表示を欠いて販売した場合、消費者の健康や安全を損なう恐れがあるため、消費者庁などの行政機関は、事業者に対して「指示」または「命令」を出すことができます。
これは「行政処分」であり、改善のための法的措置です。事業者はこの命令に従わなければならず、従わない場合は更に厳しい措置を受ける可能性もあります。
【要約】
表示義務を守らなかった場合、行政からの是正命令を受けることがある。
【もっと分かりやすく】
ラベルの記載ミスがあれば、お役所から「ちゃんと直しなさい」と言われることがあります!
設問② アレルゲン表示の義務違反に刑事罰はあるか?
【設問】
B社は、自社の店舗で加工した総菜の販売を行っているが、当該総菜の食品表示においてアレルゲンに関する表示を怠っていた。この場合、食品表示法上、B社は、当該表示を怠ったまま、当該総菜を販売していたことを理由として刑事罰をされる事は無い。
【回答】誤り
【解説】
アレルゲン(卵・乳・小麦・えび・かになど)に関する表示は、アレルギーを持つ消費者にとって命に関わる重要情報です。
したがって、アレルゲン表示の義務を怠った場合、食品表示法に基づき、刑事罰の対象となる可能性があります。
具体的には、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」といった罰則規定があり、悪質なケースでは厳しく処罰されます。
「店内加工だから」「少量だから」などの理由で義務が免除されることは基本的にありません。
【要約】
アレルゲン表示をしないまま販売を続けた場合、刑事罰の対象になることがあります。
【もっと分かりやすく】
アレルギー表示を忘れて売ると、最悪「罰金」や「逮捕」されることもあります!
設問③ 異物混入が繰り返されると営業停止に?
【設問】
食品衛生法に基づき、都道府県知事の営業許可を受けて、飲食店を営むC社は、その提供する食品に人の健康を損なう恐れの異物が混入するという事故をしばしば起こしていた。この場合、同法上、C社は、都道府県知事から営業停止命令や営業許可の取り消しを受けることがある。
【回答】正しい
【解説】
食品衛生法は、「安全な食品の提供」を最も重要な目的としています。そのため、異物混入などの衛生上の事故が繰り返される場合、都道府県知事は営業停止や営業許可の取り消しといった強力な行政処分を行うことができます。
特に、事故が「しばしば」起きているという点が重要です。単発であれば是正指導にとどまる場合もありますが、繰り返し発生する場合は経営体制そのものが問われます。
【要約】
異物混入が何度もあれば、営業停止や許可の取り消しになる可能性が高いです。
【もっと分かりやすく】
ゴミや虫が何度も入ってたら、お店を「営業停止」にされるかもしれません!
設問④ 特定保健用食品の表示に許可は必要か?
【設問】
D社は、健康増進法上、自社が製造する食品甲が、特定保健用食品としての要件を満たしている場合、消費者庁長官の許可を受けずに、特定保健用食品としての特別用途表示をして食品甲を販売することができる。
【回答】誤り
【解説】
「特定保健用食品(トクホ)」として販売するには、必ず消費者庁長官の許可が必要です。
いくら科学的に見て効果がありそうでも、企業が独自に判断して表示することは許されません。トクホマークが付けられるのは、消費者庁による審査を通過し、許可を受けた食品だけです。
無許可でトクホ表示をすると、景品表示法違反や健康増進法違反で処分される可能性があります。
【要約】
「トクホ」と表示するには、消費者庁の許可が必須です。
【もっと分かりやすく】
「トクホ」はお役所の「お墨付き」がないと名乗れません!
設問⑤ 医薬品的効能を表示すると刑事罰も?
【設問】
加工食品の製造販売業を営むE社は、その加工食品の容器において、疾病の治療、または予防を目的とする旨の医薬品的な効能効果を標ぼうし、販売している。この場合、E社は、医薬品医療機器等法所定の許可を受けていない時は、刑事罰を科されることがある。
【回答】正しい
【解説】
医薬品医療機器等法では、許可を受けていない食品に「病気が治る」「糖尿病に効く」といった表示をすることを禁じています。
これは、「無許可の医薬品販売」として扱われ、非常に重い罰則(懲役や罰金など)があります。
特に、健康食品やサプリメントを取り扱う企業では、広告表現にも厳重な注意が必要です。
治療・予防という言葉を使うには、医薬品としての審査を受け、認可されることが前提です。
【要約】
「治る」や「予防できる」と表示するには、医薬品の許可が必要。無許可なら刑事罰の対象に。
【もっと分かりやすく】
「ガンに効く」って書いたら、許可がなければ捕まるかもしれません!
まとめ|食品表示の正しい知識はビジネスリスク回避の第一歩!
食品の表示や安全に関する法令は、消費者保護と企業の信頼確保の両方に直結する非常に重要な領域です。
特に管理職や事業責任者になる方にとっては、「知らなかった」では済まされないケースが多数存在します。
逆に言えば、こうした知識をしっかり身につけておくことが、チームのリスクマネジメント力を高め、組織の信頼を守る力にもつながるのです。
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